緊急追悼企画~C.W.ニコルさん、どうか、安らかに…|
Wales Now 臨時増刊号

発行日:2020. 04. 15


ウェールズから舞い降りた“森の守護神”
自然保護活動など通じ日本との関係発展に貢献


ほぼ半世紀にわたる一貫した環境保護活動を通じ、エコツーリズムをはじめ「エコ」をめぐる様々な考え方を日本に伝えてきた作家のC.W.ニコルさんが4月3日、79年の生涯を閉じました。
1940年7月に南ウェールズで生まれたニコルさんは17歳でカナダにわたり、その後、カナダ水産調査局北極生物研究所の技官として、海洋哺乳類の調査研究に従事し、北極地域への調査探検は12回を数えるなど、探検家としても活躍。1967年からの2年間は、エチオピアで野生動物保護省の官僚として、シミエン山岳国立公園を創設し、公園長も務めました。
1962年に空手の修行で初来日した後、1975年には沖縄海洋博覧会でカナダ館の副館長に就任。1980年からは長野県に移り住んで執筆活動を続ける一方、1986年には森の再生活動を実践するため、荒れ果てた里山を購入し「アファンの森」と名付けて再生活動を開始します。
故郷のウェールズで、石炭の採掘と廃坑によって荒れ果てた森が、緑の回復を目指す人々の運動により甦ったことを知ったニコルさんは、高度経済成長を背景に自然が荒れ果てた日本で森を本来の姿に戻す取り組みにも着手し、ウェールズ語で「風の通るところ」を意味する「アファン」と森を命名。2002年には「アファンの森」での活動や調査などをより公益的な活動として全国展開するため、「C.W.ニコル・アファンの森財団」を設立し、自ら理事長となって活動を推進してきました。

財団による活動や南ウェールズのアファン・アルゴード森林公園との姉妹森締結、子ども達を対象にした「心の森プロジェクト」など、自然保護や環境教育活動を通じて英国やウェールズと日本との関係発展に大きく貢献したことが認められ、ニコルさんは2005年、エリザベス女王から「名誉大英勲章」を叙勲されています。
2008年に英国のチャールズ皇太子が「アファンの森」を視察したのに続き、2011年にはニコルさんが日本の天皇皇后両陛下に「アファンの森の森林再生事業」を進講するなど、ニコルさんの活動は英国の王室と日本の皇室からも注目されてきたのです。
「名誉大英勲章」の叙勲時には、ニコルさんは駐日英国大使館で行われた式典で「森の復活、森を通じた子ども達の健康と教育に英国のグループと頑張っていきたい」と挨拶。「『頑張る』っていうのは『やる』っていうことだ」と決意表明したニコルさんは、文字通り、最後まで“有言実行”を貫き通しました。
1995年に日本国籍を取得し、自ら「ウェールズ系日本人」と称してきたニコルさん。
長い間、本当に、お疲れ様でした。心から御冥福をお祈り申し上げます。

写真提供:C.W.ニコル・アファンの森財団(https://afan.or.jp/

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