日本とウェールズに恋をした人|Wales Now Vol.28

発行日:2017. 10. 06

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。

ツーリズムEXPOが閉幕、「不思議の国ウェールズ 古城街道」の魅力を発信

日本最大の旅の祭典『ツーリズムEXPOジャパン2017』(日本旅行業協会(JATA)主催)が9月22日(金)から24日(日)まで、東京ビッグサイトで開催されました。2017年は「ヨーロッパの美しい街道・道20選」に、「不思議の国ウェールズ 古城街道」が選出されたことを受け、北ウェールズ観光協会会長ジム・ジョーンズ氏が3度目の来日講演を行いました。

英国からもう1つ選出された、ラグビーワールドカップの歴史を辿る「イングランド田園街道」には、ウェールズの首都カーディフが含まれました。 そのため、今年は英国政府観光庁と、この2つの街道のプレゼンテーションを合同開催。また、今年はウェールズ政府としてブースの初出展を果たしました。たくさんのウェールズ・ファンの皆様、また、これからウェールズへ旅される方々にお越しいただきました。

『CREA Traveller 2017年秋号』、北ウェールズ特集が好評

北ウェールズが大きく取り上げられた、『CREA Traveller 2017年秋号』(2017年9月8日発売)が、反響を呼んでいます。ウェールズの魅力について、CREA Traveller編集長よりコメントをお寄せいただきました。

「今回の英国特集は、初速が前号を上回る売れ行きで推移しています。英国南部はもちろん、知られざるウェールズが読者に響いたのかもしれません。

旅行愛好家たちは最近、『もっと未知なる地へ』という気持ちが強まっています。というのも、Webで旅の情報が入手しやすくなり、当たり障りのものでは満足できなくなったこと、SNSの発達で他の人とさらに違う旅をしたい、とネット環境から大きく影響受けているからです。
 
ウェールズという言葉は知っていても、実情は全く知られていない。それが今のウェールズの魅力かもしれません。

長い歴史やキングアーサーの伝説など想像力を掻き立てられるストーリー性も、編集者としても魅了されました。」(CREA Traveller編集長、倉林里実さん)

CREA Traveller 2017年秋号(文藝春秋): http://crea.bunshun.jp/articles/-/13756



“歌舞伎役者の浮世絵と、
ハンサムな日本人法学生と恋に落ちました”

日本ウェールズ協会(St. David's Society Japan)会長、アースラ・バートレット今出川(Ursula Bartlett-Imadegawa)さん


日本とウェールズの架け橋となる人々をご紹介します。今回は、日本におけるウェールズゆかりの人々の友好団である「日本ウェールズ協会(St. David's Society Japan)」の会長を務める、アースラ・バートレット今出川(Ursula Bartlett-Imadegawa) さんです。前編では、日本美術に魅せられてウェールズから来日され、国際結婚に至るまでのドラマチックなライフストーリーを伺いました。


故郷のカーディフを誇りに思っています
 私の名前はアースラ・バートレットと申します。夫への敬意を込めて、夫の姓である「今出川」とあわせて名乗ることもあります。

 私はウェールズの首都カーディフで生まれ育ちました。幼い頃の思い出と言えば、ウェールズ国立美術館の前に広がる Gorsedd gardens や Cathays park で散歩したこと、土曜の午後は家族とラグビー観戦をしたことです。それから、父はウェールズ伝統の男性合唱団に所属していたので、家の中はいつも歌声で溢れていました。

 私はロンドンの学校でアートを専攻しましたが、研究テーマには、思い出が詰まった Cathays Park を選びました。公園の歴史と都市生活における建築の役割について掘り下げました。炭鉱の閉鎖などの困難にも負けず、溢れる創造性と職人技で経済発展し、年々と賑やかさを増すカーディフを誇りに思ってきました。

浮世絵に「ひと目惚れ」をして日本へ
 アートの中でも、私は印刷にとても興味がありました。日本の印刷についての課題が出たとき、カーディフ中央図書館所蔵の歌舞伎役者の浮世絵を見て、私は恋に落ちました。そして、日本に行くことを決めたのです。

 私は日本で、美しい民芸陶器にも恋をして、さらには、ハンサムな日本人法学生と恋に落ちました。私たちが初めて出会ったのは、私がインターナショナルスクールでアートを教えていた頃でした。歌舞伎について話をしたとき、彼は同じ興味を持っている人なのだと、すぐに気が付きました。

 一度、私は日本を出てドイツで働きました。彼が司法試験の勉強に集中できるようにと思ってしたことでしたが、そうして良かったと思っています。彼はクリスマスに私を訪ねてくれて、ウェールズから来た私の家族と一緒に、ドイツで休暇を過ごしました。そのとき結婚することを決めて、私は日本へ戻りました。

日本での仕事と国際結婚生活
 私はこれまで、歌舞伎座イヤホンガイドの初代英語通訳者や、一般社団法人 CWAJ(カレッジ・ウイメンズ・アソシエーション・オブ・ジャパン)が毎年行う現代版画展のアートマネージャーとして活動してきました。日本の美術を、心から愛しています。

 子どもは2人おります。息子は弁護士で、娘はロンドンでジャーナリストをしています。娘は2015年にカーディフで行われた、あのラグビーW杯の日本代表対南ア戦も取材したんですよ。

 私たち夫婦は今、伝統的な畳と近代的なシステムキッチンのある家に住んでいます。さらには、日本のお風呂には温度が調整できるマシンが付いているなんて、驚きます。今や、イギリスのお風呂(トイレもですね)は、原始的だと言わざるを得ません。

 でも日本に住んでいて、フラストレーションが溜まることもあります。それは、ウェールズを知っている人が非常に少ないということです!

※後編では、日本ウェールズ協会の立ち上げと、そのご活動について伺います。

日本ウェールズ協会: https://cdsjapan.jimdo.com



“ウェールズは独自のオーケストラとオペラを持つ、
イギリスの中でも数少ない都市の一つです”

英国王立ウェールズ音楽大学でヴァイオリンを教える、安良岡ゆう(Yu Yasuraoka)さん


歌と音楽の国であるウェールズでは、音楽教育が盛んです。カーディフ中心部から徒歩5分に位置する英国王立ウェールズ音楽大学(The Royal Welsh College of Music & Drama)は、チャールズ皇太子を支援者とし、質の高い教育で知られています。同大学でヴァイオリンを教える、安良岡ゆう(Yu Yasuraoka)さんにお話を伺いました。


ー ヴァイオリンを始めたきっかけとは?
3歳からヴァイオリンを始め、故・久保田良作氏に師事しました。姉が習っていたのを大変うらやましがったので、始めたそうです。両親は音楽は全くしたことがありませんでしたが、毎日練習しなくてはいけないというのは、とても良いことだと思ったそうです。

ー ヴァイオリニストとしてのご経歴を教えてください。
埼玉県生まれの東京育ちですが、日本音楽コンクールへの入選を経て、大学卒業後はヨーロッパに渡りました。1975年よりスイスの国際メニューイン音楽アカデミー(International Menuhin Music Academy)に加入し、スイスを拠点にヨーロッパ各地で活動。1979年には、ロンドンでデビューリサイタルを行いました。

イギリス人との結婚をきっかけに1980年よりロンドンに移り、イギリスを中心にヨーロッパ、そして日本、香港、東南アジアでも活動してきました。ソリストとして共演したオーケストラには、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、BBCコンサート・オーケストラ、BBCスコティッシュ交響楽団などがあります。

使っているヴァイオリンは、1750年製の Nicolaus Gagliano です。18才の頃から愛用しています。

ー 安良岡さんとウェールズとのつながりは?
2005年より、英国王立ウェールズ音楽大学でヴァイオリンを教えています。作曲科でも、ヴァイオリンの曲を書く授業を担当しています。大学までは、ロンドンに住みながらカーディフまで通っています(2都市間は、列車で片道約2時間)。

ー ウェールズにお勤めになって、どんな印象を持ちましたか。
カーディフは環境が良く、日本人の留学生が落ち着いて勉強ができる良いところだと思いました。

また、私の住んでいるロンドンは多民族都市であり、イギリス人はどこにいるのだろうという地域もあります。しかし、ウェールズはウェールズ人の街です。これはイギリスでは稀なことになってきました。特に、ウェールズは独自のオーケストラとオペラを持つ(BBCウェールズ交響楽団とウェールズ・ナショナル・オペラ)、イギリスの中でも数少ない都市の一つであり、興味深く思っています。

さらに、ウェールズ日本人会(Wales Japan Club)などのご活動が盛んで、これは留学生にとっても素晴らしいことです。日本人としてのアイデンティティを保つ機会となりますし、日本とゆかりのある現地のウェールズ人やイギリス人と知り合う機会にもなるからです。

ー 日本とウェールズの両国を結ぶご活動について教えてください。

2008年と2009年には、英国王立ウェールズ音楽大学の同僚と日本に行き、東京と関西の音大をまわりプロモーションとマスタークラスを行いました。その結果、大阪音楽大学との交換留学が始まりました。留学経験から大変な成果を挙げられた方も出てきたのは、とても嬉しいことです。

今年も、滋賀県でのセミナーとコンサートのために来日しました。大阪音楽大学から英国王立ウェールズ音楽大学への元交換留学生が企画してくださいました。

ー 今後の夢や目標を教えてください。
今回の来日では、音大の方だけでなく、地元のピアニストの方とアンサンブルができました。前からやりたかったことだったので、実現できて嬉しかったです。そういう方々の中から、ウェールズに勉強にいらっしゃる方がさらに出てくると良いと思っています。

これからも仕事やレッスンを一つずつきちんとこなし、毎日をしっかりと生きていきたいです。


コンウィへの日本人旅行者が急増、JATAが最新調査結果を発表



2015年6月、日本旅行業協会(JATA)の選ぶ「ヨーロッパの美しい村30選」に英国から唯一、北ウェールズのコンウィが選出されました。

その後、2015年の3月までに日本の主要旅行会社(JTB/HIS/ANAセールス/JAL/朝日旅行/クラブツーリズム/阪急交通社/ほか14社)のグループツアーでコンウィを訪れた日本人の旅行者は0人でしたが、2016年4月―2017年3月(1年間)で894人、2017年4月―9月(上半期6カ月)で1,835人と急増しています(2017年9月、JATA Team Europe調べ)。

この数字には中小旅行業会社のツアー及び個人旅行で訪れた人は含まれないため、実際の日本人旅行者数はさらに大きくなります。

編集後記

2019年に向けて、日本からウェールズへ、ウェールズから日本へと、ラグビーをベースにした国際交流が様々なセクターで企画されていくと思います。ウェールズを通る古き良き伝統と、新しい未来へつながる2つの街道は、観光業界のみならず、教育・ビジネスにおいても、新しい架け橋になることでしょう。

次号は10月23日に発行予定です。お楽しみに!

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