ウェールズの広大な冒険の宝庫に触れる|Wales Now Vol.24

発行日:2017. 07. 31

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


NHK BSプレミアム「一本の道」に出演した、
レイチェル・マッククリスタル(Rachel McChrystal)さん


“広大な冒険の宝庫のなかで育ったことへの
感謝の想いであふれました”


今年5月30日に放送(6月27日再放送)されたNHK BSプレミアムの紀行番組「一本の道 “英国の中の異国”を歩く~イギリス・ウェールズ北部~」で、アナウンサーの中川 緑さんと一緒に旅するガイドとして出演された、北ウェールズご出身のレイチェル・マッククリスタル(Rachel McChrystal)さん。前回に続き、撮影でのご体験や北ウェールズの文化についてお話を伺いました。


子羊が生まれる瞬間に、生まれて初めて遭遇

 日本のテレビ番組の撮影を体験したことは、私にとって本当に素晴らしいものでした。日本語という言語への愛情、私の故郷への情熱、そして私がどれほど日本の皆さんにウェールズを訪れていただきたいかという強い想い。このすべてが集結したなかでの体験だったからです。

 撮影を進めるうちに、私の子ども時代の記憶が蘇り、しみじみと思い出に浸ることもありました。家族と一緒に暮らした小さなドウィがバルヒ村、緑多き山々や渓谷、森林地帯や美しい海辺、そんな広大な冒険の宝庫のなかで育ったことへの感謝の想いであふれました。

 私たちは、子羊が生まれる瞬間にも遭遇したんです。撮影隊の皆さんにとって初めての体験でしたが、実は、私にとっても生まれて初めての体験でした。ウェールズの文化、人々、牧畜について、さらに学ぶことができたことで、故郷に対する想いは一層強くなりました。唯一大変だったのは、1日約12時間も日本語を話し続けなくてはならなかったことでしょうか。

ウェールズでゆったり休暇を過ごしてほしい

 私の夢は、もっと大勢の日本人の皆さんが、英国旅行の合間に少し訪れるというだけでなく、ゆったり休暇を過ごす旅行先としてウェールズを選んでいただけるようにすることです。

 まず訪れたら最初に、地元の人々からの温かい歓迎を受け、そして偉大な山々、輝くような田舎の風景、息をのむような海岸線、そして世界最高レベルを誇るナショナル・トレイル(国が推進・開発したウォーキングコース)など、ウェールズは皆さんにご提供できるものがたくさんあります。大変深い歴史や文化、古代史は現代にも反映され、言語、詩、歌、物語や伝説など、計り知れないほどの宝物にあふれています。

 加えて、ウェールズには日本人のお口に合う伝統食があります。「ラバーブレッド」という栄養価の高い岩海苔から作られる料理や、フルーツが詰まったバラブリスというパンやウェルシュ・ケーキ、そしてウェルシュ・ラムや、羊肉と野菜の煮込みのカウルスープなどなど。 旅で訪れたときには、ぜひ試してみてくださいね。

スチュワート・ライデン(Stuart Lyden)さん(右)。
長男のヴィンセントさんと。


“英国がEU離脱に舵を切るなか、ウェールズは日本に熱い視線を向けています”


ウェールズと日本における経済交流の歴史は40年以上にのぼりますが、ウェールズ政府本部で長年にわたり日本担当を務めている、スチュアート・ライデン(Stuart Lyden)さんに、自らの経験とともに、両国の関係やウェールズの魅力について聞きました。


ー 自己紹介をお願いします。
ウェールズの経済開発を目的とした行政機関であるウェールズ開発庁(現・ウェールズ政府)に1997年に入庁し、当初は北米担当でした。北米地域の代表事務所と連携を図り、ウェールズとの経済・文化交流及び交流促進に携わりました。2001年頃より日本担当となり、現在はウェールズ政府の内閣府・首席大臣室で、日本代表事務所との連携を担当をしています。

ー ウェールズ開発庁に勤める前は、どのようなお仕事をされていたのですか?
実は現在とは全く違った仕事で、12年間、軍で働いていました。英国陸軍通信部隊(Royal Signals)に1年間、英国空軍(RAF)に11年間、所属しておりました。通信部隊のときは、フォークランド紛争の真っただ中で、暗号通信の開発にも携わりました。さらに軍の前は、英国放送協会のウェールズ支局「BBCウェールズ」で働いたこともあります。いろいろな経験をしました。

50歳の誕生日記念に、マウンテンバイクでウェールズを南北縦断

ー ご家族について教えてください。
私の生まれはイングランド中部の工業地帯で、妻は東イングランドの出身です。二人ともウェールズ出身ではないのですが、出会ったのは私が空軍に所属していたとき、南ウェールズのセント・アサン(St Athan)空軍基地で通信兵として働いていた頃でした。彼女と結婚した後、すぐにフォークランドへの配属が決まり、英国に妻を残しての新婚生活が始まりました。紛争中でしたから、同居は叶いませんでした。

4人の子宝に恵まれ、長男・次男はイングランド生まれ、長女・次女はウェールズ生まれと、それぞれ出生地が違います。ラグビーやフットボールの試合観戦のときは大変です(笑)。

ー 英国に戻った後、ウェールズに住んだきっかけとは?
出身はウェールズではないので、特に住む理由はなかったのですが、住環境の良さが他のどの地域よりずば抜けて良かったからです。カーディフ郊外の自宅からはブリストル海峡を臨め、15分程歩けば浜辺に行けます。車を1時間ほど走らせれば、ブレコンビーコンズ国立公園へ、カーディフ市内へは30分で行けます。

実は最近、長男のヴィンセント(Vincent)は、セント・アサンで新設されるアストンマーティンの新工場への就職が決まりました。2019年に予定されているアストンマーティン初のSUV生産に携われるとのことで、本人はとても喜んでいます。妻と出会ったウェールズの土地が長男の就職先であることに、本当に縁を感じています。

ー 何か趣味はありますか?
自転車と車が大好きです。50歳の誕生日には、北ウェールズのスランディデュノ・ジャンクション(Llandudno Junction)からポートタルボット(Port Talbot)の区間を南北縦断、マウンテンバイクで6日間かけて走破しました。これはウェールズの魅力の一つですが、整備されたマウンテンバイクのトレール・コースが多いのです。私はまだチャレンジしたことがないのですが、スノードン山の頂までマウンテンバイクで行けるそうです。

スチュワートさんが愛用していたスバル・レガシィ

バイクは自ら部品を購入して、チューニングもします。シマノなど日本のメーカー製品が好きなので、いつか日本で大量購入したいです。なお、初めて買った車はトヨタのスターレットで、軍の駐在先だったキプロス島で購入しました。青いボディカラーが好きで購入を決めました。その次は、スバルのレガシィアウトバックを購入。日本車もとても好きですね。

ー 日本の読者にメッセージをお願いします。
ウェールズ政府で仕事をしたことで、憧れの日本と縁をいただけたことは、幸運なことだと思っています。英国がEU離脱に舵を切るなか、ウェールズと長年にわたり絆を培ってきた日本に対し、ウェールズ政府の多くの部署が熱い視線を向けています。そんななか、自分が日本担当であることを、とても誇りに思っています。


スノードン登山鉄道で蒸気機関車が17年ぶりに復活


ウェールズ最高峰のスノードン山へと続くスノードン登山鉄道(The Snowdon Mountain Railway)に、歴史深い蒸気機関車が復活しました。

スノードン登山鉄道は、120年以上の歴史を持つ人気の観光アトラクション。エンジンの修復には£60,000もの費用がかけられました。ウェールズでは文化遺産として蒸気機関車を現代に残そうという活動が広がっており、スノードン登山鉄道ではその先駆けとしてのお披露目となりました。

編集後記

あまりアウトドア派ではないのですが、夏にウェールズで過ごすと(少なくとも)ウォーキングなどに連れて行かれます。どこまでも広がるなだらかな丘、清涼な空気、静かな海の音。いつも旅で最高の思い出となります。

次号は8月15日に発行予定です。お楽しみに!

バックナンバー一覧

ページ上部へ戻る