ウェールズのビールに魅せられた人々|Wales Now Vol.2

発行日:2016. 08. 15

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。

TVR、話題の新サーキットの隣地に新工場建設

TVR_ウェールズ老舗英国スポーツカーブランドのTVRが、南ウェールズに新たな車両生産工場を建設します。立地は、国際的なモータースポーツの大会開催などのために開設される「サーキット・オブ・ウェールズ(The Circuit of Wales)」が建設中のEbbw Vale。新工場では、2017年に250台の生産を開始。2022年には年間2,000台の生産が予定されています。

伝統料理「ウェルシュ・レアビット」とは?

ウェルシュレアビット_キャッスルホテルビールとチーズがお好きなら、ウェールズの伝統料理「ウェルシュ・レアビット(Welsh Rarebit)」はいかが? 溶かしたチーズにマスタード、ビールなどを入れてコクを出したソースをトーストにのせて、こんがり焼けば完成です。肉が貴重だった時代、代用品として愛されてきたと言われています。身近な食材で作れるので、ご家庭でもぜひ挑戦を!
Photo: taken at Castle Hotel, Conwy


パンクなラベルに秘めた味わい
ウェールズ・ビールの”小さな反逆”


「モーリスギター」や「クロックス」を日本で大ヒットさせた、森平茂生社長が率いる株式会社ジュート。この市場のスペシャリストらが今、注目しているのがウェールズの新進気鋭のブルワリー「タイニー・レベル(Tiny Rebel)」社のビールです。日本展開を担当する雨宮さんに、その出会いと魅力を伺いました。


株式会社ジュート 酒類部マネージャー 雨宮昭彦(Akihiko Amemiya)さん

株式会社ジュート 酒類部マネージャー
雨宮昭彦(Akihiko Amemiya)さん

たった1年で、世界が注目のブルワリーに!?
 ビールの輸入のために初めてウェールズを訪れたとき、まず驚いたのが、その真面目で温かい人柄でした。今でもよく覚えているのが、打ち合わせが終わったあとに振り返ると、相手のかたが橋の上でずっと手を振ってくれていたことです。海外のビジネスの場で、こんなに親切にしてもらえるのは稀なことです。「これは楽しい仕事になるな」と直感しました。ウェールズのビールを日本に広めたいと思うようになったのは、それからです。

 ある日、世界のビール辞典の2013年版『1001 Beer: You Must Try Before You Die 2013』(Adrian Tierney-Jones 著)で、イギリスのビールのことを調べていました。すると歴史ある著名なブルワリーに並んで、2012年に創設されたばかりのブルワリーが紹介されていました。アニメのようなクマのユニークなラベルが気になり、しかも場所はウェールズだったので、すぐに連絡を取りました。それが「タイニー・レベル」でした。

予想を裏切る、イギリス伝統の味わい

燻製されたオート麦と8種類のモルトをブレンドした「Dirty Stop Out(ダ ーティー・ストップ・アウト)」

燻製されたオート麦と8種類のモルトをブレンドした「Dirty Stop Out(ダ ーティー・ストップ・アウト)」

 「タイニー・レベル」はウェールズ第3の都市ニューポートで、ブラッドとギャレスという20代・30代の若い男性2人が始めたブルワリーです。2012年の本格始動の翌年には、ローカルビールの大会「Great Welsh Beer & Cider Festival 2013」で優勝しています。

 ラベルのデザインは変わっていますが、飲んでみると中身は王道のイギリスらしい味なので驚きました。例えば代表的な「Dirty Stop Out(ダーティー・ストップ・アウト)」は、オート麦をやや燻製したイギリスの伝統的な黒ビールです。2015年、リアルエールの世界的な復興団体「CAMRA(カムラ)」が主催するコンテストで「Champion Beer of Britain 2015」に輝いたのが、「Cwtch(クッチ)」です。ウェールズ語で「抱きしめる」という意味のレッドエールで、こちらもまるで優等生のような味わいです。かなりパンクなラベルなのに(笑)。

 今、世界的に流行しているクラフトビールといえば香りも苦みも強いIPAですから、伝統的な味はかえって珍しいですね。日本でも大人気なのがスコットランドのあの”青いイヌ”のIPAですから、そうした人気に対するウェールズの赤いクマから挑戦、といったところでしょうか。

原点は、ウェールズの祖父の味

創業者のブラッドさん(左)とギャレスさん(右)

創業者のブラッドさん(左)とギャレスさん(右)

 もともと、ギャレスのおじいさんの趣味がビール造りで、おじいさんに憧れていたギャレスが大きくなってから家のガレージで一緒に造り始めたことが、創業のきっかけなのだそうです。そのビール造りの技術やセンスは、おじいさんから受け継いだものなのでしょう。

 ガレージから始まって、すぐにコンテストで優勝して、今や世界中のビール好きが注目している。これは驚異的なことです。ラベルに騙されずに、まずは飲んでみてほしいですね。ウェールズの古き良き伝統と、ラベルに込められた若者の反逆精神。どちらも楽しめるのではないでしょうか。

タイニー・レベル・ジャパン:http://www.tinyrebel.jp


レクサムラガー_歴史
“ウェールズの誇り”を取り戻せ!
レクサムラガーの復活と成長


英国最古の歴史を持つラガービール「Wrexham Lager(レクサムラガー)」は、北ウェールズのWrexham(レクサム)生まれ。あの豪華客船「タイタニック号」で飲まれていたという歴史がありながらも、一度は海外企業に合併され、2000年に生産中止。その悲劇の運命からレクサムラガーを救った現・代表のマークさんにお話を伺いました。


Wrexham Lager(レクサムラガー)社代表 Mark Roberts(マーク・ロバーツ)さん

Wrexham Lager(レクサムラガー)社代表 Mark Roberts(マーク・ロバーツ)さん

レクサムラガーが生産中止だって!?
 放って置けなかったんです。「レクサムラガーが生産中止」だなんて。レクサムラガーは、1882年にウェールズで生まれた素晴らしいラガービールです。パブやレストラン、家庭ではもちろん、世界中で愛されていました。私もレクサム生まれ、レクサム育ちのウェールズ人として、誇りに思っていました。それが国際企業に買収されて、2000年にはブルワリーが閉鎖されました。

 しかし2007年のことでした。家族で事業を行っている私たちのもとに、「レクサムラガーをウェールズに取り戻すことに興味はないか」という話が舞い込んできました。市場調査をしたところ、イギリスでは80%の人が「レクサムラガーに戻ってきてほしい」と願っていることがわかりました。皆、私たちと同じ気持ちだったのです。そこで所有していたある空の倉庫を、ブルワリーにすることを決意しました。

最高の水とホップを、最高の設備で
 レクサムラガーで使っている水は、北ウェールズのバーウィン山地(Berwyn Mountain)からやってきます。この水は非常に柔らかく、ラガービールを作るのに最適です。ピルスナーの発祥地、チェコのプルゼニ地方の水と水質が大変似ていることがわかっています。レクサムラガーの過去のレシピに倣って、その最高の水と最良のホップを使いました。ドイツから最高の設備も輸入しました。レクサムラガーの製造にあわせた特注です。

レクサムの本社にて。

北ウェールズ、レクサムの本社にて。

 今、私たちのやったことは、正しかったと実感しています。開業以来、私たちから売り込みをしたことがないのです。イギリス全土や海外から問い合わせが途切れません。ロンドンのミシュラン三つ星レストランを抱えるシェフ、ヘストン・ブルメンソール氏も好んでレクサムラガーを使ってくれています。今年はウェールズ最大の芸術祭「アイステッズヴォッド(Eisteddfod)」の公式ドリンクに選ばれました。さらには、日本でも販売が始まります。私たちの製品の品質、それ自体が国内外に向けた最高の宣伝です。

食のおいしさが際立つ、バランスの良さ
 レクサムラガーの魅力は、味のバランスが良いところです。辛すぎず、ほのかな良い香りで、さまざまな料理に合います。地元の人は、夏はスパイシーな料理に合わせて楽しむ人が多いですね。「食のおいしさが一層に際立つ」と好評です。

 ぜひ冷やして飲んでください。1口目で味見をして、そして2口目で口のなかに広がっていく香りをじっくり楽しんでください。そうすれば、あなたもレクサムラガーが大好きになりますから!

レクサムラガー:http://www.wrexhamlager.co.uk


日本初、レクサムラガーが期間限定で発売

レクサムラガー_徳岡_日本初_限定発売7月29日(金)から31日(日)の3日間、徳岡 銀座店(東急プラザ銀座B2F)にて、ウェールズのラガービール「Wrexham Lager(レクサムラガー)」の日本先行販売が行われました。「苦味も少なく、爽快な味わい」と、女性にも大好評でした。次の機会をお見逃しなく!

\ 名門イェール大学とウェールズの意外な関係/

アメリカの私立名門校「イェール大学」の創設に尽力し、大学にその名を冠したエリフ・イェール(Elihu Yale)は、アメリカに渡ったウェールズ移民。両親とともに、レクサム(Wrexham)の教会の墓地に眠っています。

編集後記

小粋なタイニーレベル、歴史あるレクサムラガー。どちらの背景にも、ウェールズのビールに魅了された人々の熱き勇姿がありましたね。その本場の味と精神を日本でも味わえることを、改めて感慨深く思います。

次回は9月1日に発行予定です。お楽しみに!

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