拡張現実(AR)で迷い込むウェールズのワンダーランド|Wales Now Vol.19

発行日:2017. 05. 15

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。

「不思議の国のアリス」にまつわる撮影スポットが集中する、スランディデュノの Happy Valley にて。

「不思議の国のアリス」にまつわる撮影スポットが集中する、スランディデュノの Happy Valley にて。


「不思議の国のアリス」ゆかりの地
スランディデュノで拡張現実(AR)の世界へ

「不思議の国のアリス」のキャラクターに扮して観光客を迎える、スランディデュノの子どもたち。

「不思議の国のアリス」のキャラクターに扮して観光客を迎える、
スランディデュノの「ミス・アリス」(2017-2018)と仲間たち。


北ウェールズのスランディデュノ(Llandudno)は、ウェールズ屈指の美しいリゾートタウンです。「不思議の国のアリス」のモデルとなった少女がホリデーを過ごした土地であり、物語にまつわる舞台をめぐるアトラクションも充実。

前回に続き、スランディデュノの楽しみ方を、観光振興プロジェクトのディレクターであるサイモン・バローズ(Simon Burrows)さんに伺いました。


"まるでアリスと仲間たちが、スランディデュノにいるかのように動き出します"

 私は北ウェールズのバンガー大学を卒業し、スランディデュノで観光振興の仕事をしています。「不思議の国のアリス」にゆかりある、スランディデュノの歴史をもっと楽しんでもらおうと私たちがご用意したのが、 「Alice in Wonderland Town Trails(アリス・イン・ワンダーランド・タウン・トレイルズ)」です。

 どんなものかと申しますと、町歩きを楽しみながら、物語とのつながりを知ることができるアトラクションです。紙の地図もご用意していますが、スマートフォンやタブレットをお持ちの方は、ぜひご準備ください。

 アプリ「The White Rabbit Digital Trail」をダウンロードしていただくと、観光案内所がスタート地点の地図が現れます。地図のナビゲーションと、歩道に敷かれた「ウサギの足跡」のブロンズを道しるべに、歩き始めましょう。地図上にマークが付いたスポットに到着したら、画面のボタンをクリックしてください。スランディデュノの歴史や、アリスのモデルとなった少女アリス・リデルにまつわるアニメーションと、お話のナレーション(英語のみ)が楽しめます。

スランディデュノ駅前のアリス像。

スランディデュノ駅前のアリス像。

 さらに、アプリのカメラ機能で、そのスポットの風景を撮影してみてください。まるでアリスと仲間たちが、スランディデュノに実在しているかのように動き出します。一緒に記念撮影をすることもできますよ。2012年に開発したこのアプリは、「拡張現実(Augmented Reality/AR)」という技術をいち早く観光に実用した例として、各方面で取り上げていただきました。

 ロンドンからスランディデュノまでは、列車で片道約3時間。ロンドン・ユーストン(London Euston)駅から乗車し、スラディデュノ・ジャンクション(Llandudno Junction)駅で乗り継ぎ、スランディデュノ(Llandudno)駅を目指してください。

 改札を出ると早速、"ティーパーティー中のアリスたち”がお待ちしています。アトラクションの途中には、クラシックホテル、アートギャラリー、カフェ、海辺の街並みを見渡せる絶景があるので、どれも見逃さないでくださいね!

アリス・リデルが宿泊した記録の残るSt Tudno Hotel では、アリスの名を冠したウェールズ式のアフタヌーンティーが楽しめる。伝統菓子バラブリス付き。

アリス・リデルが宿泊した記録の残る St.Tudno Hotel では、ウェールズ式のアフタヌーンティーが楽しめる。伝統菓子バラブリス付き。

Alice in Wonderland Town Trails: http://www.alicetowntrail.co.uk(英語)

※アプリのナレーションは英語のみ
※大容量アプリのため、事前のダウンロードをお勧めします


イギリスのホストファミリーと栃木さん。

株式会社オーバーシーズ・トラベル 顧問の栃木健司(Kenji Tochigi)さん。ホストファミリーと。


“シニア世代に、カーディフの街の評判は絶大です"


日本とウェールズの架け橋となる人々をご紹介します。今回は、シニア向けの体験型留学プログラム「ワールドブリッジ」を企画・実施する、株式会社オーバーシーズ・トラベル 顧問の栃木健司さんをお迎えします。

一昨年より、ウェールズの首都カーディフでの英語研修&ホームステイプログラムの提供をスタート。その原点は、栃木さんご自身の経験にあるそうです。


ー イギリスとの出会いを教えてください。
初めての海外旅行先が、イギリスでした。1970年、通っていた男子校の夏期英国旅行団の一員として、英国人と日本人の牧師が同行しての旅でした。移動時間は片道30時間、1ポンド860円の時代です。イギリスに到着すると周遊バスツアーに参加し、ケント州や湖水地方、エジンバラ、ヨークをまわりました。この特別な体験によって、私はイギリスが大好きになりました。

大学2年生のときには、父親に「イギリスに留学したい」と懇願しました。しかし、あえなく脚下。そこで、夜中に割りの良いバイトをして資金を作り、1974年に自費で渡英しました。ケンブリッジの学校に1年半通い、宿泊はそのほとんどがホームステイ(下宿)でした。

ー 栃木さんご自身も、ホームステイを経験されたのですね。
はい、6軒のお宅のお世話になりました。母は夜間看護師、父は雇われ農夫という、労働者階級のご家庭のお世話になったこともあります。豪華なものは何もありませんでしたが、かえって温かい人柄に触れることができました。年の近い息子さんと、家族のようにいつも一緒に過ごしました。

ー どのような経緯で、会社を立ち上げたのですか。
帰国後、旅行会社に12年間勤務したのち、1989年に株式会社ワールドブリッジを立ち上げました。当時、日本は海外に行きたい人が増えていた追い風の時代で、さらに個人旅行が増え始めていました。

株式会社オーバーシーズ・トラベル 顧問の栃木健司(Kenji Tochigi)さんと、プログラム参加者の皆さん。カーディフ郊外のカフェリー城にて。

プログラム参加者の皆さんと栃木さん。カーディフ郊外のカフェリー城にて。

私の原点はイギリス、そしてホームステイです。量より質の少人数制、長期滞在にこだわり、そしてイギリスにこだわりたいと思いました。そこで、英語研修&ホームステイという大人向けのプログラムを企画し、イギリスにあるホームステイの専門会社に仕事を持ちかけました。

ただ、イギリスは冬に人気が落ち込んでしまうことなどから、最初はニュージーランドを取り扱うこととなりました。ようやく念願のイギリスのプログラムを取り入れられたのが2015年で、それがウェールズでした。

ー なぜイギリスのなかでも、ウェールズ(首都カーディフ)を選ばれたのですか。
まずは、治安の良さです。「ヨーロッパは不安」という方も多い今、安全を第一に考えました。それから、提携先の学校とご家庭に自分でも何度も通ってみて、総合的に判断しました。提携校の「Celtic English Academy(ケルティック・イングリッシュ・アカデミー) 」は日本人も勉強しやすい環境が整っており、ホームステイ先からバスで通えるので、シニア世代も安心です。しかも、ウェールズ人は人柄が良いですね。

カーディフ中心部に広がるビュートパークにて。

カーディフ中心部に広がるビュートパークにて。

ー ウェールズでのシニア留学について、反響はいかがですか。
過去3回実施して約50名の方にご参加いただき、高い評価をいただいています。特に、カーディフの街の評判は絶大です。 街がコンパクトなので、学校の勉強のあとにシニア世代も街歩きが楽しめるのが特長です。レストラン、新旧のアーケードでショッピング、美術館やカーディフベイと、その日ごとの楽しみがあります。

少人数制であることにも、効果を感じていただけているようです。回を追うごとにリピーターが増えています。なかには、3回目の参加という方も。次回の実施は、2017年9月1日(金)からの26日間です。5月25日(木)には、銀座で説明会を開催します。

ー 今後の夢や目標を教えてください。
かれこれ、海外旅行の業界にいて40年くらいになります。旅行業界は急速に変化しており、今ではフライトからホテルの手配まで、ほとんどすべてを個人でできるようになりました。しかし、そんな今だからこそ、今後はさらに「体験型のツアー」を極めたいです。長期滞在型、そして体験型のプログラムにこだわるのは、旅の本質を大切にしたいからです。それは自らホームステイを体験し、現地の方と話し、数ではなく質を大切しているからこそ実現できると考えています。

会社を立ち上げて数年した頃、かつてホームステイでお世話になったご家族を日本に招待したことがあります。「そんなにお世話になった方なら、大切にしなさい」と、私の母に言われたのがきっかけでした。

何より、全てはイギリスから始まっています。これからも関係を大切にしていきたいですね。

ワールドブリッジ: http://senior-homestay.com/uk/

写真提供:ワールドブリッジ

\「カンブリア紀」とウェールズの古い関係 /

地層の時代区分を示す「カンブリア紀」という言葉を聞いたことがありますか? ウェールズの国のことをウェールズ語では「カムリ(Cymru)」と言いますが、「カンブリア」とはウェールズのこと。この時代の岩石が世界で初めて出土したのが、ウェールズだったことに由来しています。

(c)National Museum of Wales

(c)National Museum of Wales

編集後記

カーディフで数軒のお宅にホームステイをしたことがあります。生粋のウェールズ人のご家族、退職後にイングランドから移住したご家族、アメリカやオーストラリアに転勤した後に帰ってきたご家族……それぞれのウェールズ観に触れる貴重な機会でした。"Tea is ready!(紅茶の用意ができたわよ!)"と、どちらでも温かく迎えてもらったことを、今でもよく覚えています。

次号は5月30日に発行予定です。お楽しみに!

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