信頼のブランドをウェールズから日本へ|
Wales Now Vol.79

発行日:2020. 07. 29

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


オーガニックのチーズとバターで日本の食卓に彩りを
“CALON WEN”(カロンウエン)


日本、香港、中国、英国に拠点を持つ食品貿易会社・峰一食品グループの峰貿は、ウェールズの最大手オーガニック乳製品ブランドである“CALON WEN”(カロンウエン)商品の日本への輸入を行っています。日本の食品メーカー代理店として、香港や中国へ商品の輸出も行っている峰貿の福田莉佳・新規事業開発本部長に、カロンウエン商品の魅力や日本市場での展開などについてお聞きしました。

ー 最初に、ご自身の自己紹介をお願いできますか。
大学で経済を専攻した後、英国系の銀行に就職して、食品や衣料といった消費財の市場調査などに携わり、英国や香港でも仕事をしましたけれども、駐在期間が一番長かったのは中国の上海でした。10年弱にわたってBtoBの仕事をやらせていただいた後、家族で英国に移住して、4年ほどロンドンに住んでいました。日本では「食の英国」というイメージは殆どないと思いますが、実際に暮らしてみると素晴らしい食品に数多く出会うことができました。食関連のビジネスも面白いのではないかと考えるようになり、実家がファミリービジネスとして食品輸入の事業を行っていたので、英国に住んでいる間に峰一ヨーロッパという会社を立ち上げました。

ー 峰一食品グループは、どのような事業展開をされているのでしょうか。
日本と香港、中国では上海、北京、広州、そして、ロンドンに拠点を持つ食品貿易会社で、日本の冷凍・冷蔵商品を中心に1000種類以上の商品を扱っています。現地のスーパーマーケットや外食チェーンなど取引先は幅広く、特に、取引実績が18年以上に及んでいる香港では、商品の提案から配送まで一連のサービスを提供しています。2011年に設立した峰貿は、日本の食品メーカーの代理店として、香港や中国向けに商品を輸出してきました。

ー カロンウエンというブランドとの出会いについて、教えてください。
英国系の銀行に勤務していたころ、日系の大手食品会社などと仕事をしていて感じたのは、いかにコストを下げながら美味しい食品を鮮度の高いまま顧客の食卓へ届けるかが大きなテーマになっているということです。日本の冷凍技術などは素晴らしく、大量生産によって安くて美味しい食品を手間ひまかけずに食べられるということが、大手食品メーカーにおけるBtoCの流れだと思っていました。ところが、事前に食のイメージなどを持たずにヨーロッパに行って、最初は「日本食が恋しいな」という感じだったのですが、実際に生活してスーパーに行く機会が増えたり、英国に沢山あるグロサリーベジショップなどに行くと、ヨーロッパでは「オーガニック後進国」などと揶揄されていた英国も、大手のスーパーなどでも3分の1から半分くらいは、オーガニックやナチュラルな食品が並んでいます。野菜や果物、乳製品などを買って帰り、自宅で調理してみると、とても美味しいんです。自分でもだんだん食材そのものの味を楽しむような食べ方にシフトしていったのですが、特に、印象的だったのがカロンウエンの乳製品でした。

ー 実際に食べてみて感じたカロンウエン商品の魅力は、どのようなものだったのでしょうか。
カロンウエンに限らず、英国で暮らしているうちに、食材の本来のナチュラルさ、品質の良さなどに目が向くようになって、日常的に食べる機会の多いバターやチーズなどの美味しさには、だんだん感動が深まっていくという感じでした。オーガニックで放牧して牧草だけを食べて育った乳牛の乳製品が、味わい深くて非常に美味しいというのは、食べ続けてみて分かるものだという気がします。その自分が美味しいと思った食材は、そのまま、日本に輸出できるのではないかと考えたわけですが、一消費者としてバターやチーズ、ヨーグルトなどを英国の大手オンラインショップで購入していたカロンウエンの商品が、パッケージも可愛いくて取り組んでみたいブランドだなと思いました。

ー 商品を取り扱うようになった経緯についても、ご説明いただけますか。
私の方から連絡をしてみたら、彼らのオフィスはウェールズにあって「じゃ、一度、会ってみよう」ということになり、私自身がウェールズまで行ってきました。牧場を見せてもらったり、工場を見学させてもらったりして、色々と話を聞かせてもらっているうちに「美味しさにはきちんと理由があるんだな」ということを改めて感じさせられました。カロンウエンというのは、ウェールズにある20の家族経営農場が2000年に設立して運営しているファーマーズ・コープで、コープ名がそのままブランド名にもなっています。志を持つファーマーたちが集まり、結束して強力な商品を市場に提案して、自分たちの手で顧客の食卓に届けられる製品をつくろうということで始まったコープなんです。設立当初のコンセプトやポリシーが一貫して受け継がれてきていて、品質の良さを第一義としつつも、ファーマーたちが継続的に安心して牛を育てていけるように価格も維持されています。もともと農業ということで、地元のコミュニティにも非常に根付いたやり方をしていて、「これは信頼できるブランドだ」と確信しました。現在は、毎月220万リットルの生乳と年間30万トンのバターなどを生産しており、ウェールズではオーガニック乳製品の最大手生産者となっています。ウェールズの大手スーパーであるテスコなどで販売されていて、オーガニック乳製品のマーケットシェアは40%に達しており、その乳製品はイングランドも含めた英国全土で流通しています。私がアプローチした2016年の時点では、既に中東各国への輸出も開始され、海外進出も実現していました。

ー 日本市場での現在の状況について、お聞かせください。
ウェールズ政府は企業サポートを手厚く行っていることで知られていますけれども、フード業界もその例外ではありません。ウェールズ政府が主催するインポーター向けのイベントに私たちも参加させていただき、日本から来ていたバイヤーや企業関係者の皆さんにカロンウエン製品の試食をしていただいたり、お話をお聞かせいただいたりして、カロンウエンとしても日本市場への関心を強めてきました。日本の場合は、日本食自体のスタンダードが高いということもあり、消費者の食への関心も強くて、良い製品であれば評価されるマーケットであるということも分かっています。昨年10月には、阪急うめだ本店で開催された「英国フェア2019」に出店して、日本のリテールマーケットでデビューする形となりました。日本では知られていないブランドですし、ウェールズそのものの知名度も低いのではと心配だったのですが、ちょうど日本で開催されたラグビーワールドカップ(RWC)の期間中でもあり、ウェールズ代表チームが活躍していたので「英国のウェールズ」ということを知っている方も沢山いらっしゃいました。試食もできるイベントだったので「すごく美味しいね」と評価してもらい、主催者にも喜んでいただけました。昨年は、同じ10月に開催された熊本市のデパートのイベントにも参加して、東京のホテルでもメニューとして採用していただくなど、実りの多い年でした。

ー 今後については、どのように展望されていますか。
当面は、広く一般消費者にアピールしていくというよりは、ホテルやレストランなどハイエンドのマーケットを中心にカロンウエンの乳製品が流通するという形が続きそうですが、チェダーチーズの発祥地が英国であることなども含め、クォリティの高い乳製品を日本の食卓にも浸透させながら、既に協力していただいている日本の大手乳製品メーカーや流通チェーンなどと一緒にカロンウエン商品が消費される市場を広げていけたらと考えています。また、私たちはレシピも色々と提供させていただいていて、ウェールズ料理を紹介したり、SNSでの様々な情報発信も通じて、日本の食卓に彩りを添えていきたいと思っています。さらに、ウェールズの食品を日本に輸入している他のインポーターとのコラボレーションなどにより、ウェールズの食材を組み合わせることでこんな味わい方や楽しみ方もできますとアピールしていけたらなどとも構想しています。

ー どうも、ありがとうございました。

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ウェールズの工場で新型SUVがラインオフ
アストンマーチン「DBX」7月後半から納車へ


アストンマーチンは7月9日、ウェールズのセント・アサンにある専用施設で同ブランドとしては初めてとなる新型SUV「DBX」がラインオフしたことを明らかにしました。7月後半からは、納車も始まる見通しです。
セント・アサン工場は、ゼロエミッションのラグジュラリーブランドに位置づけられる「ラゴンダ」の生産拠点としても稼働することになっています。
アストンマーチンは2016年2月、20を数えた世界の候補地の中から、3番目の生産拠点としてセント・アサンを選択。新工場は、南ウエールズに700人以上の雇用を生み出し、2019年から新型SUVの生産が開始されていました。
今年に入ってからは、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、セント・アサン工場での生産も停止を余儀なくされていましたが、5月5日から従業員が復帰。英国政府による最新のガイドラインを上回る安全対策を採用して、生産が再開されています。
アストンマーチンは、「ブランド初のSUVを生産するセント・アサン工場では、ファンの方々が待ち望んでいるDBXの生産を段階的に再開するための準備を実施。従業員の健康と安全を守ることに加え、当然のことながら、非常に厳しい医療の最前線で献身的に働いている国民健康サービス(NHS)スタッフの負担を増やすことのないように全力を尽くした」と説明。ウェールズ州統一労働組合の労働者代表も、「ロックダウン状態から事業活動を再開する際に、従業員が安全に職場に復帰できることを最優先に対策を講じ、英国におけるアストンマーチンの全ての拠点において、持続可能なビジネスを再開するという共通の願いをサポートしている」と宣言していました。

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ウェールズラグビー協会から応援メッセージ
感染拡大の第2波が発生した北九州市を激励

ウェールズラグビー協会(WRU)は今年6月、新型コにロナウイルスの感染拡大で第2波が発生した北九州市に応援メッセージを送りました。
昨年開催された「ラグビーワールドカップ(WRC)2019日本大会」では、北九州市でウェールズ代表チームの事前キャンプが実施され、同市による歓迎やおもてなしの素晴らしさがメディアやSNSなどを通じて世界に発信され、国際的にも注目されて高い評価を受けました。
ウェールズでは、ラグビー代表チームのみならず、国民の間にも北九州市が「特別な場所」として深く心に刻みこまれており、今回のメッセージも、そうしたウェールズの人々の思いが示されたものと言えそうです。
応援メッセージのビデオに登場するのは、WRUのチェアマンを務めるガレス・デービス氏、WRUのライアン・ジョーンズ強化本部長、WRUの代表チームフィットネスコーチを務めるポール・ストリッジョン氏、WRUのグループ事業担当マネージャーを務めるリース・ウィリアムズ氏の4氏。
新型コロナウイルスの感染拡大により予定されていた来日が見送りとなったことも踏まえ、デービス氏が「必ずやまた直ぐに再開しましょう。どうかご無事にお過ごしください」と呼びかけたのに続き、ジョーンズ氏は「共に結束することで、必ず乗り越えられると信じています」と激励。ストリッジョン氏とウィリアムズ氏も、「このひどい状況を抜け出せるよう願っています」「みなさまのご無事を心より願っています」と語りかけています。
WRUと北九州市は「RWC2019」を機に、一層の友好・協力関係を維持・発展させていくことを目的に“レガシー協定”も締結しており、同市では「遠い国の方々とも心を一つにし、この困難を乗り越えていきましょう」と市民に呼びかけました。

編集後記

本来であれば、既に開幕していたはずの東京2020オリンピック競技大会…。プロ野球やJリーグ、大相撲といったプロスポーツは、観客数の大幅な縮小やソーシャルディスタンシングの確保などにより、ようやく「無観客」の状況から抜け出したものの、世界的なメガスポーツイベントやスタンドからの大声援を奪われてしまった今、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ昨年の「ラグビーワールドカップ(RWC)2019 日本大会」の興奮が懐かしく思い出されます。そのRWCで活躍したウェールズ代表チームが事前合宿を行った北九州市に、ウェールズラグビー協会から応援メッセージが届けられました。新型コロナウイルス感染拡大の第2波が発生した同市への応援メッセージは、RWCを契機に強まったウェールズと北九州市の絆がこれからも永遠に続く強いものであることを教えてくれているようです。

次号は2020年07月31日に発行予定です。お楽しみに!

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