RWCでのウェールズ代表の活躍を機にプレゼンス強化|
Wales Now Vol.70

発行日:2019. 10. 24

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。

~ウェールズ貿易使節団・連続インタビュー~


“芸術分野でも深まるウェールズと日本との交流”


カーディフのアトリエを拠点に、大判のアルミニウム製パネルにコンテンポラリー絵画を描くことで知られるジュリア・ブルッカーさん。9月から10月にかけて来日したウェールズ貿易使節団のメンバーとして東京や大分を訪れたブルッカーさんに、創作の背景や日本への思いなどをお聞かせいただきました。

ー 今回の来日目的をお聞かせください。
貿易使節団の一員として、東京を中心に既存クライアントを訪問したり、新規クライアントとして想定される企業などを訪ねています。また、「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」に出場するウェールズ代表チームが試合を行う大分市で開催される“大分×ウェールズ友好交流 The Art of Wales展”に参加することも大きな目的の一つです。

ー その“大分×ウェールズ友好交流 The Art of Wales展”について、ご説明いただけますか。
ウェールズ代表チームは、大分スポーツ公園総合競技場で10月9日にフィジー代表チームと試合をしたのに続き、10月20日にもフランス代表チームとの準々決勝を行いましたが、これに合わせて、9月27日から10月27日まで1カ月間にわたり、大分市にある大分県立美術館の1階アトリウムで“大分×ウェールズ友好交流 The Art of Wales展”が開催されています。私も作品を出品していますけれども、9月28日には大分県立美術館の創作広場で「アルミに描いてみよう!」というワークショップが開催され、そのワークショップの講師としてもイベントに参加する形となりました。

ー ワークショップでは、大分の皆さんと直接交流する機会も生まれたわけですね。
そうです。“大分×ウェールズ友好交流 The Art of Wales展”では、私が講師を務めたワークショップだけでなく、ウェールズ国立博物館のデービット・アンダーソン館長も来日され、「海外で日本文化を展示する意義」と題して講演したほか、ウェールズ政府日本代表事務所のスタッフがウェールズについての紹介も行いました。ウェールズ国立博物館でも昨年、日本文化をテーマに特別展も実施されていますから、ラグビーワールドカップの開催を通じて、ウェールズと大分県や大分市との間の交流も活発になってきていると言えそうです。

ー ウェールズ代表チームの事前合宿地となった北九州市や予選プールの最終戦が行われた熊本県でも、ウェールズ関連の様々な行事が行われていますから、ウェールズと九州各地との交流が広がっているようです。
大分県立美術館では、“大分×ウェールズ友好交流 The Art of Wales展”の関連企画として「ナショナル・ダンス・カンパニー・ウェールズ」によるダンスパフォーマンスも実施されたと聞いています。ウェールズ芸術協会がサポートするコンテンポラリーダンス団体の「ナショナル・ダンス・カンパニー・ウェールズ」は、1980年代から世界各地で活躍してきており、ラグビーを題材にした“RYGBI - ANNWYL I MI/DEAR TO ME”という短編オリジナル作品を通じて、人間の希望・栄光・情熱などが表現されたそうですから、まさに、ラグビーワールドカップを通じた相互交流や相互理解が深まることになるのではないでしょうか。私が大好きな日本とウェールズとの関係が様々な形で発展していくことを、本当に嬉しく思います。

ー 今回は、何回目の来日でいらっしゃいますか。
日本を訪問するのは、今回が3回目です。私は、プロジェクト毎に特注絵画を制作するというパーソナルサービスを提供していますから、東京都内のビル施設やホテルなどに展示されている私の作品を制作する機会などに来日してきました。作品を制作する際には、建築家やインテリアデザイナー、不動産デベロッパーなどと緊密に打ち合わせを重ねながら、作品の特徴や色合い、スケールなどを決定しています。今回の来日では、高級ホテルやオフィス、マンション、銀行、船舶などの想定クライアントの皆さんとお会いしましたので、今後の展開が楽しみです。

ー なぜ、アルミニウムに作品を描かれているのでしょうか。
私は、子どもの頃から絵を描くのが好きで、将来は画家になれたらいいなと思ってきましたが、子育てを終えた段階で自分の夢を実現しようとグラスゴー大学に入り、ファインアート・ペインティング学部で美術を学びました。アルミニウムに作品を描くようになったのは、大学で美術を学んでいる時からで、その理由は、表面の光が反射されることにより、絵の具の色も強調されるためです。作品はオーダーメイドで制作していますから、アルミニウム製パネルのサイズは発注に応じて決めています。アトリエでの制作日数は、短くて3週間程度で、長い時には8週間くらいかけることもあります。

ー 3回目の来日だそうですが、日本については、どのような印象をお持ちですか。
日本の皆さんには、いつも親切にしていただいていますし、仕事の対応も丁寧で正確ですし、キメ細かい気遣いには、本当に感謝しています。初めて来日した時、ホテルに戻る道が分からなくなって困っている時に、声をかけてくださった母娘連れの女性2人がわざわざホテルまで案内してくださり、その親切さに感激したものですが、そうした日本人の皆さんの優しさは、来日するたびに感じるものです。ウェールズ人も、外国からいらっしゃった旅行者の方々などにはとても親切に対応していると思いますけれども、日本の皆さんの気配りや優しさは、ウェールズ人以上なのではないかと感じています。

ー どうも、ありがとうございました。


“日本での需要創出を通じて世界市場の拡大も”


患者リフトや入浴補助器具、寝室用品などの分野で世界のヘルスケア市場をリードするマンガーヘルス。ウェールズ中東部・ポーイスのPresteigneに本拠を置き、欧州各国や米国、オーストラリアなどで国際的にビジネスを行っている同社のコマーシャル・ディレクターを務めるアンドリュー・マクフェイルさんに、事業の内容や日本市場の展望などについて語っていただきました。

ー マンガーヘルスの事業内容について、ご説明ください。
1981年の創業以来、一貫してヘルスケアや介護の分野で移動・ハンドリング器具や入浴用サポートギアの設計・製造を行ってきており、特に、空気を注入して膨らませることのできる膨張式の製品については特許を取得していることから、国際市場でもトップメーカーとしての地位を維持してきています。近年では、フランスの医療機器メーカーを買収して、治療用ベッドや圧力式治療用マットレスなどの製造・販売も行うようになりました。

ー 今回の来日目的を教えていただけますか。
今回は、貿易使節団の一員として日本を訪れていますが、マンガーヘルスにとっても、私自身にとっても、来日は初めてとなります。英国も高齢化社会が到来していますけれども、世界的にも長寿国として知られる日本も英国と同様に高齢化が進んでおり、介護を中心とするヘルスケア関連器具などへのニーズも高まっていくものとみられていますから、今後の日本市場での需要創出に向けて、販売代理店の開拓を進めたいと考えています。

ー マンガーヘルスの製品についても、ご説明ください。
会社の創設者であるデビッド・ガーマンが開発したバス・リフトという製品は、マンガーヘルスを代表する製品とも言えるもので、バッテリー駆動式で利用者自らが操作できるという使い勝手の良さが最大の特徴です。軽量で3つのパーツに分解できますから、持ち運びも簡単に行えます。安全のために、製品の表面は滑り止め加工が施されており、横ずれ防止のフリップも備わっています。強度を保ちながらも、軽量化されたスチール製のベースユニットは、洗浄もしやすい構造になっているので、清潔さも維持しながら長期にわたって使っていただけるものです。

ー 特許を取得している膨張式の製品についても、詳しく教えていただけますか。
空気を注入して膨らませることのできる膨張式の製品としては、入浴用クッションやリフティングクッションなどが用意されています。まず、入浴用のクッションは、バスタブの出入りに困難が伴う利用者をサポートすると同時に、入浴時にも楽な姿勢を保つものとして活用できるものです。空気を抜けば、小さく畳むことも可能ですから、収納スペースも小さくてすみます。また、空気注入器とクッションを結ぶホースは回転式になっているため、常に最適のポジションが維持されるので、よじれて空気を送りにくくなったりすることもありません。クッションそのもののも、抗菌性の丈夫な素材でつくられていますから、耐久性が極めて高いものとなっています。

ー リフティングクッションには、どんな特徴がありますか。
リフティングクッションは、床や地面から立ち上がる時に利用していただくもので、バッテリー駆動でハンディタイプのコンプレッサーを使って空気を注入して使っていただきます。使い方も非常にシンプルですから、少し慣れていただけば、どなたにもご利用いただける使い勝手の良い製品です。屋内でも屋外でも使っていただけるように、クッション自体も強化ポリウレタンをナイロン素材でコーティングしてありますから、非常に丈夫で破れたり壊れたりすることもありません。クッションは4つのパートを4段式に積み重ねて使うため、徐々に高くしていきながら、身体に負担をかけず楽に立ち上がることが可能です。

ー 新規参入される日本市場の可能性については、どのように展望されていますか。
さきほども言ったように、世界的にも長寿国として知られる日本も英国と同様に高齢化が進んでいますから、介護を中心とするヘルスケア関連器具などへのニーズも高まっていくことは間違いありません。マンガーヘルスとしては、欧州各国や米国、オーストラリアで市場を確立してきていますし、日本でも新たな需要を創出できると確信しています。特に、日本市場は、消費者のレベルが高いことでも知られているハイエンドなマーケットですから、日本で需要を創出することができれば、各国での新規市場開発も可能になるでしょうし、日本人ユーザーからのフィードバックを参考にして新たな製品開発につなげていくこともできるのではないかと期待しています。

ー どうも、ありがとうございました。

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美味しいヨーロッパ”まるごと味わうセミナー
ウェールズ首席大臣も出席し、新宿サザンテラスで開催

ウェールズ政府は9月30日、東京・代々木の新宿サザンテラスで「“美味しいヨーロッパ”まるごと味わうセミナー」を開催しました。

“美味しいヨーロッパ”は今年7月、日本旅行業協会(JATA)のアウトバウンド促進協議会(JOTC)欧州部会が「旅を通して地元の味覚を楽しむ」をテーマに旅行のプロ集団からの企画素材を先行し、欧州域内の34地域から100品目を選定したものです。ウェールズからはウェルシュラム、ラバーブレッド、ウェルシュレアビット、ウェルシュケーキ、バラブリスの“美味しいウェールズ5品”が選ばれています。「“美味しいヨーロッパ”まるごと味わうセミナー」は、9月20日から10月3日まで新宿サザンテラスに開設された“ウェールズドーム”で開催され、来日したマーク・ドレィクフォード・ウェールズ首席大臣も出席し、「美味しいウェールズ」「新しいウェールズ」を紹介。新宿サザンテラスに隣接する小田急ホテルセンチュリーサザンタワーで、“美味しいウェールズ5品”の試食会も行われました。
“ウェールズドーム”は、ウェールズを様々な形でインタラクティブに体験できる特設ドームシアターで、多くの来館者が360度の映像を通じて、目と耳でウェールズの世界を体感しました。

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首席大臣と過去最大規模の貿易使節団が来日
ウェールズと日本との関係強化へ期待膨らむ

東京・一番町の駐日英国大使館大使公邸で9月30日、ポール・マデン駐日英国大使主催による「マーク・ドレィクフォード・ウェールズ首席大臣 ウェールズ貿易使節団来日記念レセプション」が開催されました。
レセプションの冒頭で挨拶に立ったマデン大使は、「ウェールズと日本との間における半世紀にも及ぶ投資・貿易の歴史も、近年は持続可能な再生エネルギーやサイバーセキュリティなど新しい分野での関係構築が進んできている」と指摘。「ウェールズを訪れる日本人旅行者も着実に増え続けるなど、ウェールズと日本の関係は新しい局面に入ってきており、17社が参加する過去最大規模の使節団による来日の実現は、大きな意義を持つ」と強調しています。

特に、ウェールズ代表チームも参加している「ラグビーワールドカップ(RWC)2019 日本大会」が開催されている中、ウェールズ代表チームだけでなくウェールズから日本を訪れているサポーターも国内各地で歓迎されている「パーフェクトなタイミング」で来日した貿易使節団について、マデン大使は「日本とウェールズの関係をさらに強固にするものとなるはずだ」と期待を示しました。
また、ウェールズのドレィクフォード首席大臣も、「1970年代から多くの日本企業がウェールズに進出してきており、ウェールズ代表チームがスポットライトを浴びるRWCの機会を最大限に生かしたい」と語り、今後の日本との関係強化へ意欲を表明。2018年におけるウェールズから日本への輸出額が前年比25%増の2億5000万ポンドに達したことにも言及したドレィクフォード首席大臣は、「ウェールズと日本との関係は現在、最も大切な時期を迎えており、今回の貿易使節団に参加した17社の企業にはその関係を深めるためにも大きな役割を果たしてほしい」と呼びかけています。

|NEWS|
大分県立美術館でウェールズとの友好交流展
世界的に活躍する芸術家13組の作品などを紹介

大分市寿町の大分県立美術館で10月27日まで、「大分×ウェールズ友好交流 The Art of Wales展」が開かれています。
9月20日に開幕した「ラグビーワールドカップ(RWC)2019 日本大会」では、大分県も開催地の一つとなっており、期間中に国内外から多くのラグビーファンが同県を訪れるものと予想されています。同美術館でも、iichiko総合文化センターとともに「芸術×文化×スポーツの祭典〜The Festival of Arts×Culture×Sports〜と銘打ち、「世界と日本と大分の『凄い!』が出会い弾ける」をキャッチフレーズに数多くの事業を展開しており、「The Art of Wales展」もその一環として開催されているものです。

「The Art of Wales展」では、ラグビーの強豪国としてだけでなく、中世時代の英雄を描いたキング・アーサー伝説やルイス・キャロルの小説『不思議の国アリス』などの舞台としても知られるウェールズを拠点に活躍する芸術家の作品を紹介。ヨーロッパや日本などで世界的に活躍するアクリルパインターのジュリア・ブルッカー、美術作品からパブリックアートまで幅広く手掛けるガラス作家のクリス・バード・ジョーンズやアンバー・ヒスコット、セラミックアートを中心に活躍する芸術家集団ファイアワークスなど13組のアーティストによる作品が展示されています。

大分県立美術館では「The Art of Wales展」期間中の9月28日に、出品作家のジュリア・ブルッカーが講師を務めるワークショップ「アルミに描いてみよう!」も午前と午後の2回にわたって実施されたほか、同日午後には「ナショナル・ダンス・カンパニー・ウェールズ」がダンスパフォーマンスも披露。ラグビーを題材にした短編オリジナル作品を通じて、人間の希望・栄光・情熱などを表現し、喝采を浴びました。
また、10月8日には、ウェールズ国立博物館のデービッド・アンダーソン館長による講演会も開かれ、アンダーソン館長は「海外で日本文化を展示する意義」をテーマに講演を行っています。ウェールズ国立博物館では昨年、日本文化をテーマに特別展が開催されており、日本で開催されたRWCを通じて、文化・芸術交流も深められる形となりました。

編集後記

9月20日に開幕した「ラグビーワールドカップ(RWC)2019 日本大会」は、予選プールから決勝トーナメントに入り、ベスト4に残ったウェールズ代表チームの活躍により日本でのウェールズの知名度も一気に向上しています。特に、ウェールズ代表チームの事前合宿地となった北九州市をはじめ、予選プールの試合が行われた熊本、予選プールと準々決勝の2試合が行われた大分など、九州各地とウェールズとの交流も一気に深まりました。RWCに合わせて過去最大規模で来日したウェールズ貿易使節団も大きな成果を収めており、今後のウェールズと日本との様々な分野での交流拡大が大いに期待されるところです。

次号は2019年10月31日に発行予定です。お楽しみに!

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