“オールウェールズ”体制で食品・飲料産業をバージョンアップ|
Wales Now Vol.68

発行日:2019. 08. 07

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


“「不思議の国=ウェールズ」を象徴するワインに”


北ウェールズでのワイン生産を開始してから4年ほどの間に、内外の様々な賞を受賞するなど、クォリティの高いワインで知られるグィンサン・コンウィ・ヴィンヤード(Gwinllan Conwy Vineyard)。ご夫婦で家内制手工業的なワイン生産に取り組んできているコリン・ベネット(Colin Bennett)氏に、ワイン造りやガイドツアー、日本市場での可能性などについてお聞きしました。

ー グィンサン・コンウィ・ヴィンヤードについて、ご説明いただけますか。
2012年からブドウの栽培を始め、2016年からワイン生産をスタートしました。約3ヘクタールの土地で栽培されているブドウは、現在、年間2万本のワインを生産できるまでになっています。生産されているワインは、赤、白、ロゼですが、まもなく、白やロゼのスパークリングワインの生産も開始する予定です。また、ワインの生産だけにとどまらず、ハイエンドな旅行者の皆さんを対象に、ブドウ畑ツアーも実施しており、腕の良い職人シェフが作る素晴らしい料理を食べながらワインの試飲も楽しんでいただいています。私たちが生産するワインは、過去3年間で国際的なワインコンクールで12もの賞を獲得するまでになりました。ワインライターやセレブの皆さん、また、英国の首相にも、私たちのワインの素晴らしさを評価していただいています。2017年のノースウェールズ・ツーリズム・アワードでは、「ベストフード&ドリンクプロバイダー」賞も受賞しました。また、2017年のコンウィ・カウンティ・ビジネス・アワードでも、「ベストデスティネーションフード&ドリンク賞」を獲得しています。

ー 日本の皆さんには、どのようなポイントをアピールしたいとお考えですか。
私たちの生産するワインのクォリティは非常に高く、同時に、とてもユニークで、世界的なワイン・コンテストなどで多くのメダルを獲得してきたことも、ぜひ、知っていただきたいと考えています。また、ブドウ畑のガイドツアーも行っていますので、北ウェールズにいらっしゃった際には、ぜひ、ご参加いただければと思います。

ー ブドウ畑のガイドツアーについても、ご説明いただけますか。
コースによって参加料金が異なりますけれども、どのコースでも北ウェールズで生産されるワインの魅力を十二分にご理解いただけるものとなっています。ブドウ畑のガイドツアーとワインの試飲という基本的なコースは1人15ポンドですが、ワインの試飲に加えてチーズボードの試食も楽しめるコースは1人22.5ポンド、「チーズとワインの夕べ」コースは1人20ポンドなど、様々なコースをご用意していますので、ご自分の好きなコースを選んでいただくことができます。

ー 北ウェールズという場所でワインを生産されているわけですが、グィンサン・コンウィ・ヴィンヤードは地域にとってどういった存在なのでしょうか。
ウェールズは「不思議の国」であり、中世のお城や歌などの文化、美しい風景などでも知られている土地です。もちろん、国技と言われているラグビーを忘れてはいけません。今年の秋には、日本で間もなくラグビーワールドカップ(RWC)が開催されますから、ウェールズの国旗「レッドドラゴン」も各地で目にしていただくことになると思います。日本の皆さんは、RWCでのウェールズ代表チームの活躍などを通じて、ウェールズという国についてもっと知りたいとお考えになるでしょうから、北ウェールズでも素晴らしいワインが生産されていることが分かれば、驚愕されるのではないでしょうか。私たちのワインも、また、「不思議の国=ウェールズ」を象徴するものでありたいと考えています。

ー グィンサン・コンウィ・ヴィンヤードとして、日本市場の可能性をどのように見通していらっしゃいますか。
ウェールズ政府からのご支援もいただきながら、日本市場で私たちの生産するワインのプロモーションを積極的に行うことで、グィンサン・コンウィ・ヴィンヤードとして日本での地歩を固めながら、一定のシェアを確保していくことができればと考えています。

ー “Wales Now”の読者の皆さんに、メッセージをいただけますか。
ウェールズという国に関心や興味をお持ちいただいている皆さんには、どうか、ウェールズワインの世界も探索していただければと思います。北ウェールズは、世界的にも良く知られているような知名度の高いブドウ栽培地域でもありませんし、まだ、ワインのブランドとしても決して著名な存在ではないかもしれませんが、一度、私たちの生産するワインを飲んでいただければ、きっとウェールズワインの魅力をもっと知りたいと思っていただけると確信しています。愛すべきウェールズワインに乾杯!! “iechyd da”!!!

ー どうも、ありがとうございました。


“7カ年にわたるプロジェクトを通じて成長・革新を促進”


ウェールズ政府は、国内の食糧関連組織の活動を統括するフード・イノベーション・ウェールズへの支援を通じて、ウェールズの食品・飲料産業の成長や革新を促す取り組みを進めています。その食糧関連組織の一つであるフード・テクノロジー・センターのマネージャーを務めるマーティン・ジャーディン氏に、フード・イノベーション・ウェールズの展開などについて、お話をお聞かせいただきました。

ー フード・イノベーション・ウェールズについて、教えていただけますか。
ウェールズには、フード・テクノロジー・センター、フード・センター・ウェールズ、フード・インダストリー・センターという3つの食糧関連組織があり、フード・イノベーション・ウェールズは、ウェールズ政府の支援を受けて、この3つの組織による活動を統括して、ウェールズの食品・飲料関連企業による成長や革新を促すための支援やアドバイスを行ったり、競争力の向上や新規市場の開発などもサポートしています。また、食品・飲料分野における新規企業の設立や開業支援、さらには、多国籍企業に対しても、技術的・経営的支援を行っています。

ー 最近の主な取り組みとしては、どのようなことをされているのでしょうか。
2014年から2020年までの7カ年にわたるプロジェクト・フェリックスという農村共同体・農村開発省による計画を通じた予算に基づく取り組みが展開されています。このプロジェクトを通じて、ウェールズの食品・飲料セクターの野心的な成長を実現するためのモデルづくりが、民間部門とウェールズ政府との緊密な連携によって進められているところです。今年5月末までの時点で、プロジェクト・フェリックスによる具体的な成果として、366に及ぶ新製品が開発されたのをはじめ、支援対象となった新規事業件数が156件、新たに開発された市場件数も241件に及ぶなど、農村部における成長を妨げていた障害を打破するという結果がもたらされています。また、ウェールズ全域をカバーする大規模な事業に対する支援件数は276件、専門技術の移転に支援事業も18件を数えるなど、食品・飲料セクターが将来にわたってウェールズ経済の安定をもたらす主導的役割を果たしていくための基盤づくりが実現されてきており、食品・飲料産業に与えた経済効果は1億1000万ポンド以上に及ぶと推計されています。

ー プロジェクト・フェリックスにおける新規市場の開発戦略では、日本も重要な新規市場に位置付けられているのでしょうか。
その通りです。フード・イノベーション・ウェールズは、新規市場へのアクセスを通じたウェールズの食品・飲料産業の成長を促すために、様々な関連機関や関係組織と連携して新規市場を開発するための共同イベントなどを実施してきていますが、英国国内や欧州域内だけにとどまらず、米国やオーストラリア、日本などでもウェールズ産食品・飲料のプレゼンスを高めて、新規需要の創出や新たな市場の開発を目指しています。

ー フード・イノベーション・ウェールズの展開を支えている関連組織の一つとしてのフード・テクノロジー・センターの役割をご説明いただけますか。
フード・テクノロジー・センターは、ウェールズの食品・飲料産業に対して、重要な技術や知識などの移転を進めるうえで、重要な役割を果たしています。この重要な技術や知識の移転を進める役割は、ウェールズで事業を展開する外国の企業との連携によって実現されており、例えば、欧州最大と言われるスナック菓子市場規模を持つ英国で2015年にカルビーUKを設立して、北ウェールズの工場で豆系スナックの生産を開始した日本のカルビーなども、海外事業の拡大を成長戦略の一つとしており、フード・イノベーション・ウェールズにとっての重要なコラボレーション企業の一つとなっています。

ー どうも、ありがとうございました。

|NEWS|
ニューポートに新たな国際会議場がオープン
インターナショナル・コンベンション・センター・ウェールズ

(Image: International Convention Centre Wales)

カーディフ、スウォンジーに次ぐウェールズで3番目に大きな都市・ニューポートに今年9月、インターナショナル・コンベンション・センター・ウェールズがオープンします。
こけら落としイベントとなるのは、9月24日から26日までの3日間にわたって開催される“UKスペース・コンファレンス2019”で、1年おきに開催される同コンファレンスは、英国内だけでなく世界中から各国政府や企業、アカデミズムなどの航空・宇宙関係者が集まり、最新の情報共有や意見交換、宇宙計画の発表、参加者相互のネットワーキングなどを通じて、新たな宇宙時代への道筋を探ります。
英国政府は現在、日本の航空・宇宙セクターとのコラボレーション強化を目指していることから、ニューポートに完成する新しい会議場で開催される同コンファレンスは日本でも注目を集めることになりそうです。
インターナショナル・コンベンション・センター・ウェールズでは、その後も、“The Ultimate Christmas Festive_al”(2019年12月6日~13日)、“The Nutcracker On Ice”(2019年12月11日~2020年1月5日)など、様々なイベントの開催が予定されています。

|NEWS|
ウェールズラグビー協会関係者らが大分・熊本を訪問
小学生や高校生などを対象にラグビークリニックなど実施

今年7月10日〜16日にかけて、ラグビーワールドカップ(RWC)に出場するウェールズからウェールズラグビー協会の関係者らを招請し、両県でラグビー関係のイベントを実施しました。9月〜11月まで日本で開催されるRWCでは、ウェールズ代表vsフィジー代表の試合が10月9日に大分スポーツ公園総合競技場で行われるのに続いて、ウェールズ代表vsウルグアイ代表の試合が10月13日に熊本県民総合運動公園陸上競技場で行われます。
両県を訪れたウェールズラグビー協会の関係者らは、小学生や高校生などを対象とするラグビークリニックなどを実施。特に印象的だったのは、クリニックに参加した別府市立石垣小学校の児童たちが、クリニックの御礼にウェールズの国歌を歌い、ウェールズの勝利に皆で願いをこめた千羽鶴をプレゼント。2つの大きなサプライズプレゼントにWRUのメンバーは非常に驚き「最高の1日!」と大感動しました。

ウォーカー日本代表が熊本県の高校で出張講座

また、ウェールズラグビー協会の訪問に合わせて、ウェールズ政府関係者が両県の高校や小学校などで出張講座を行いました。ロビン・ウォーカー日本代表は、九州学院高等学校と熊本県立済々黌高等学校にて出張講座を行いました。九州学院高等学校では、英語のみによる講演と質疑応答を行うという形式で授業が行われ、少し不安げな面持ちでホールに入ってくる生徒も見受けられましたが、ウェールズの美しい風景やかわいらしい動物がスクリーンに映し出されると、生徒たちはひときわ大きな歓声をあげて興味深く映像に見入っていました。
ウォーカー日本代表は「今年はラグビーのワールドカップが日本で開催され、ここ熊本ではウェールズの試合も行われます。ウェールズからも多くのファンが熊本を訪れますし、私は日本・熊本とウェールズの架け橋として貢献したいです。そして皆さんにもぜひウェールズの試合を見ていただきたいと願います。そして、ウェールズを含む多くの訪日外国人との国際交流に積極的に取り組んでほしいです」と話しました。

▼九州学院高等学校|特進コース ウェールズ出前授業

 

編集後記

日本を代表するスナックメーカーがウェールズに進出し、ウェールズ政府とのコラボレーションによるウェールズの食品産業の成長・革新に貢献することが期待される一方、航空・宇宙産業の分野でも、9月にニューポートにオープンする新しい国際会議場で開催されるコンファレンスで日本のプレゼンスが高まる見通しで、様々な分野における日本とウェールズとの関係強化が進むことになりそうです。

次号は2019年8月15日に発行予定です。お楽しみに!

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