ウェールズ産ビールが乾いた日本の喉を潤す!!|Wales Now Vol.67

発行日:2019. 07. 24

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“日本市場で固有のテーストやフレーバーをアピール”


英国でも有数の景勝地として知られるガウアー半島に因む社名のガウアー・ブリュワリー。2011年にスウォンジーで創業された同ブリュワリーは、8年足らずで10以上のブランドを開発して、ウェールズだけにとどまらず英国内で着実にマーケットを拡大し、オランダやブラジルなどにも輸出するまでになっています。ウェールズから日本への初めての飲食貿易使節団の一員として来日した同ブリュワリーのスティーブ・リーズ氏に、事業概要や今後の方針などについてお聞かせいただきました。

ー ガウアー・ブリュワリーについて、ご説明ください。
2011年に創業し、同年11月11日の11時から醸造を開始しました。醸造所のあるクロフティが位置しているガウアー半島は、ウェールズだけでなく英国全体でみても非常に景観の美しいところとして有名で、1956年に英国で最初の特別自然景観地域(Area of Outstanding Natural Beauty)となったことでも知られています。そうした素晴らしい場所に立地するガウアー・ブリュワリーは、最も上質な原材料を用いて、伝統的な手法によりクォリティの高いビールを手工業ベースで製造しています。ガウアー・ブランドのビールは、ウェールズだけでなく英国各地で飲んでいただいていますし、オランダやブラジルなどにも輸出しています。

ー ガウアー・ブランドのアピールポイントを聞かせていただけますか。
まず、麦芽とホップはビール醸造の命ともいうべき重要な原料ですけれども、麦芽については、1879年から同じ製法で麦芽をつくっている会社から仕入れていますし、ホップについても、世界中のホップを1865年から供給してきている会社から仕入れています。そうした原料をベースに、ガウアー・ブランドのテーストやフレーバーを生み出す独自の手法によって、様々な特徴のあるビールを生産してきました。まだ、創業から8年しか経っていませんけれども、既に、ガウアー・ブランドのビールは10種類以上を数えるまでになっています。

ー 主なブランドについて、それぞれの特徴を詳しく教えてください。
ガウアー・ブランドで最も人気が高く、沢山飲まれているのは2011年12月から製造を開始した「ガウアー・ゴールド」で、このビールは、柑橘系のフレーバーと英国ホップの系統であるカスケードホップのアロマが特徴になっています。アルコール度数も4.5%に抑えてあるので、夏場に喉の渇きを癒したりするのには最適のビールですけれども、「ガウアー・パワー」「ブリュー・ワン」「シップレック」「ルーモー」「ブラック・ダイヤモンド」などのブランドと同様、年間を通じて醸造されている“通年型ビール”です。「ブリュー・ワン」は、2011年11月の創業時から醸造しているガウアー・ブランドのオリジナルビールで、蜂蜜色で微妙なフレーバーと花のようなアロマが特徴ですけれども、アルコール度数は3.8%と低めのため、とても飲みやすいビールです。
ー 今、“通年型ビール”とおっしゃいましたが、“季節限定型ビール”というようなブランドもあるのでしょうか。
たとえば、「グッド・エルフ」というブランドは、クリスマスシーズンを中心に冬季期間に飲んでいただくビールです。シルクのように滑らかなオートミール・スタウトで、微量のダークチョコレートやカンゾウの根から抽出したエキス、タンポポ、ゴボウなども隠し味的に含まれており、アルコール度数も4.8%と高めになっています。また、ラグビー観戦時に飲んでいただく特別なビールとして「アップ・アンド・アンダー」というブランドも用意されています。スタジアムの中だけではなく、スタジアムの外であっても、ラグビーを観戦しながら飲めるビールとして、飲みやすいようにアルコール度数は4.0%と低めにしています。私の知る限り、ラグビー観戦に特化したブランドのビールがあるのは、ウェールズだけではないかと思います。ブランド名の「アップ・アンド・アンダー」はラグビーの戦術名で、日本では「ハイパント」とも呼ばれているプレーです。

ー 日本市場での可能性については、どのように見通していらっしゃいますか。
ガウアー・ブリュワリーのような規模の小さいビールメーカーは、日本の大手ビールメーカーや世界的に知られた外国のビールメーカーなどと競合する市場でのビジネス展開を考えるのではなく、これまで工夫してきた独自のテーストやフレーバーを前面に打ち出していくことで、日本でも独自の市場を開発したり、オリジナルの需要を創出したりできるのではないかと思っています。世界のどの国へ行っても、その国のビールメーカー同士だけでなく、外国のビールメーカーも同じ市場で鎬を削っているわけですが、国によって独自の市場を開発できることもあれば、できないこともあります。できない場合は、その理由を探って、新たな需要を創出したり、独自の市場を開発できるように努力しなければなりません。繰り返しになりますけれども、ガウアー・ブランドに固有のテーストやフレーバーをアピールして、そのテーストやフレーバーを気に入ってくれる消費者を見つけ出し、さらに、そうした消費者により気に入ってもらえるような商品を開発していかなければなりません。ガウアー・ブリュワリーには、その能力が備わっていますし、日本市場は、その能力を発揮できるマーケットだろうと考えています。

ー どうも、ありがとうございました。


“日本の皆さんにもウェールズ産「地ビール」を”


2005年の創業以来、ウェールズ政府の経済振興組織であるビジネスウェールズが主催する“Great Taste Awards”で「最優秀ウェールズ産品」の栄誉に浴したのをはじめ、 “International Brewing Awards”でもシルバーメダルを獲得するなど、数々の賞に輝いてきたパープルムース・ブリュワリー。その卓越した風味が高く評価され、ウェールズ内外から多くの称賛を受けてきた同社のローレンス・ワシントン社長に、お話を伺いしました。

ー パープルムース・ブリュワリーの歴史や概要などについて、お聞かせください。
2004年に北ウェールズのポーツマドックで醸造所を開設し、翌2005年からビールの醸造を始めました。醸造を開始した当時は、10バレル規模の生産体制でしたが、2013年には40バレル規模の醸造所を新設し、生産規模は一気に4倍となりました。来年で創業15周年を迎えることになりますけれども、現在、8つのブランドでビール事業を展開しています。

ー 日本市場にはどのようなアプローチをされてきているのでしょうか。
2015年にアジアでは最大級の食品・飲料専門展示会として知られる幕張メッセでの「FOODEX JAPAN/国際食品・飲料展」にパープルムース・ブランドのビールを出品し、マーケティング会社が日本市場に対して商品のプレゼンテーションを行ったことがありますけれども、私自身が来日して日本の関係者の皆さんと直接、商談を行ったりするのは今回が初めてです。パープルムース・ブリュワリーとしての日本市場とのコンタクトということでは、2015年の「FOODEX JAPAN」への出品以来、4年ぶりとなります。

ー ウェールズから日本への飲食貿易使節団も今回が初めてのことですけれども、使節団に参加した理由をお聞かせいただけますか。
駐日英国大使館で商談会が実施されたり、セミナーでパープルムース・ブリュワリーについてプレゼンテーションを行えるなど、使節団ならではの素晴らしい場を通じて、日本市場での本格的な展開への足掛かりをつくる機会を得られるのではないかと考えたからです。パープルムース・ブリュワリーとしては、「FOODEX JAPAN」に出品した2015年以降も新たなブランドを開発してきていますし、現在は、日本市場でより多くのビジネス展開を行える可能性が広がってきていると思います。パープルムース・ブランドのビールの中には、日本の消費者の皆さんにも気に入っていただける商品もあると確信していますので、今回の使節団への参加を通じて、是非、パープルムース・ブリュワリーとして独自の需要創出や新たな市場開発につながるようなきっかけづくりを実現できればと考えています。

ー 「FOODEX JAPAN」に出品した2015年から4年が経過しているわけですが、この間に日本市場でも何らかの変化が生じていると思われますか。
昨日もビールを販売している小売店を何店舗か訪れてみましたけれども、日本でも国内の各地で「地ビール」と呼ばれる小規模の醸造所が製造するビールの種類も非常に増えてきていることを知りました。ですから、パープルムース・ブリュワリーのような外国の醸造所も含めて、日本で「地ビール」の潜在需要をもっと掘り起こしたり、新たな市場を開発したりすることができるチャンスも大きくなってきているのではないかと感じています。

ー 日本では大手のビールメーカーによる市場の寡占状態が続いてきており、外国の醸造所が独自にビール市場を開発するのは決して容易ではないと思われますけれども、日本市場での可能性をどのように見通していらっしゃいますか。
英国でも世界的に知られている著名なブランドのビールが市場で大きなシェアを占めているという状況は同じです。しかし、その一方で、多くの消費者が規模の小さい醸造所によって生産される特色のあるビールへの関心を高めているという傾向も強まってきています。そうした需要も徐々に広がってきており、地ビールを流通させるアウトレットのチャネルなども登場してきているところです。英国で、いわゆるマイクロ・ブリュワリーと呼ばれる小規模の醸造所がつくるビールへの注目が集まり始めているように、日本でもマイクロ・ブリュワリーによるブランド・ビールへの関心を持つ消費者がさらに増加していく可能性は十分にあるのではないでしょうか。そうした傾向は、英国や日本だけにとどまらず、世界各国のビール市場でも今後、強まっていくものとみられています。

ー 現在、8つのブランドで事業展開されているそうですが、主なブランドについてご説明いただけますか。
コア・レンジのビールとして最も代表的なパープルムース・ブランドが「SNOWDONIA ALE」で、厳選された麦芽からパープルムース・ブリュワリーの独自で繊細な技術によってビールの原液をつくり、豊富なフレーバーを醸し出すアロマに溢れた複数のホップを加えて、爽やかで伝統的なゴールデン・エールに仕上がっています。ブランド名の通り、スノードニア山でのハードなウォーキングなどの後に、喉の渇きを癒したりするのに最適なビールで、アルコール度数も3.6%と低めにしてあります。2009年に「ウェールズ・チャンピオン・ビール」賞、2012年に「ウェールズ・チャンピオン・ビター」賞を受賞したのに続き、2015年にはビジネスウェールズが主催する“Great Taste Awards”で「1-Star Gold」賞の栄誉にも輝きました。また、コア・レンジのビールで最もアルコール度数が高いのは「DARK SIDE OF THE MOOSE」で、リッチな麦芽のフレーバーとフルーティーなビター感のバランスが絶妙な味わいです。これまでにも幾つかの賞を受賞していますが、今年も「International Brewing Awards 2019」で銀賞を受賞しました。クラフトレンジでも、デザートのように味わえるヴァニラ・フレーバーの「CHOCOLATE MOOSE」というスタウト・ビールや「MWSH」というケルト・スタイル・ラガー、「ANTLERED IPA」というインド風ペール・エールなどのブランドを揃えています。

ー どうも、ありがとうございました。

|NEWS|
ウェールズから飲食貿易使節団が来日
日本市場でのプレゼンス拡大を目指す

ウェールズ政府のウェールズ飲食貿易使節団が6月16日から21日までの6日間にわたって来日し、6月19日には駐日英国大使館で使節団に参加した企業各社による製品紹介プレゼンテーションに続き、関係者を招いてレセプションも開催されました。
飲食業界に特化した貿易使節団が来日したのは今回が初めてで、ウェールズのレスリー・グリフィス環境・エネルギー・農林大臣は使節団の来日に先立って、「海外市場への進出・拡大を目指すウェールズの食品・飲料生産者にとって大きなチャンス」と使節団の意義を強調。「英国によるEU離脱を控えるウェールズ経済にとって、輸出は極めて重要度の高い項目」であり、「ウェールズ政府としては今回の使節団派遣を通じて、ウェールズからの輸出を促進・支援することを目指している」と説明しています。
来日期間中、使節団に参加した企業の関係者らは、各種店舗ツアー、市場ブリーフィング、ネットワーキングイベント、小売り・フードサービス業界のバイヤーや販売代理店・輸入業者とのミーティングなど様々なプログラムに参加して、日本市場への進出機会を探りました。

ウォーカー日本代表「今年は大きなチャンス」

6月19日に実施された使節団の参加企業各社によるプレゼンテーションでは、ウェールズ政府のロビン・ウォーカー日本代表が冒頭で挨拶し、「東京の高級レストランや高級ホテルでウェールズ産のブルーロブスターを楽しめるようになったり、今年1月には、史上初めてウェールズ産の高級ラム肉の日本への輸入も解禁され、世界的にも評価の高いウェールズの食材を待ち望んでいた東京のシェフの皆様のご要望に応えられるようになりました」と説明。
ウォーカー日本代表は、さらに、今年9月から11月まで日本で開催されるラグビーワールドカップでは、「ウェールズ代表ラグビーチームが試合を行うホストシティにある百貨店でウェールズの食品や飲料を紹介するイベント企画の準備も進められている」と語り、強豪チームとして知られるウェールズ代表ラグビーチームの活躍と併せて「今年はウェールズの食材に対する日本での認知が一気に高まる大きなチャンス」と期待を示しています。

今回のウェールズ飲食貿易使節団に参加したのは、アバフォールズ・ウイスキー・ディスティラリー、ガウアー・ブリュワリー、ウェールズ食肉輸出促進協議会、パープルムース・ブリュワリー、ウェルシュ・レディ・プリザーブスの5社・団体で、日本でのウェールズ食材ブームという新たなトレンドの創出に向けて、力強い一歩が踏み出される形となりました。

編集後記

四国ほどの面積に約300万人が暮らすウェールズには、80を超えるビール醸造所があるとも言われています。日本では、まだ、馴染みの薄い「ウェールズのビール」ですが、そのクォリティは高く評価されており、ウェールズや英国だけでなく、欧州各国や米国、ニュージーランド、オーストラリアなどにも輸出されているほどです。今回、ウェールズから来日した飲食貿易使節団には、日本市場への進出を目指すブリュワリー2社も参加。ラグビー観戦用に特化したブランドもあるウェールズのビールは、代表チームの活躍が期待される日本でのラグビーワールドカップを機に、日本市場でも認知度が高まることも期待されています。

次号は2019年7月31日に発行予定です。お楽しみに!

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