「食のウェールズ」を日本市場で強力にアピール!!!|Wales Now Vol.66

発行日:2019. 07. 03

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


“独自のウイスキー需要創造やユニークな市場開発へ”


北ウェールズでは約1世紀ぶりのウイスキー蒸留所として、2017年に設立されたアバフォールズ・ウイスキー・ディスティラリー。既にジンやリキュールなどを販売している同ディスティラリーでは、2020年に初めてのウイスキーを出荷する予定です。ウェールズから日本への初めての飲食貿易使節団の一員として来日した同ディスティラリーのジェームズ・ライト社長に、日本市場での見通しなどについてお話をお聞かせいただきました。

ー 周辺に青銅器時代の遺跡も残る有名な観光地である「アバの滝」に蒸留所を設立した理由を教えていただけますか。
もともと19世紀にスレート加工工場として建てられた施設を、そのまま蒸留所として利用しています。第1次世界大戦と第2次世界大戦の間はマーガリン工場として活用され、最近まで飲料卸売業者の貯蔵庫として使われていましたが、その敷地が川に隣接していて自然が豊かなロケーションであることや、ウイスキーの生産に綺麗な滝の水を利用できるだけでなく、水を汲み上げるのに滝の水力を利用できるという利点もあります。また、周辺地域には多くの農家もあって、ウイスキーの原料となる麦芽(モルト)を地元で確保できるというのも大きな理由の一つでした。

ー 蒸留所が立地している地域の経済にも恩恵をもたらすことになるわけですね。
その通りです。地元の農家から麦芽を買い入れるだけでなく、蒸留所で働く従業員も全て地域の人々を雇用しています。現在、蒸留所では、運営管理を行うオフィスマネージャーから生産ラインの運営要員にいたるまで蒸留所の周辺に居住しているスタッフを採用していますし、ビジターセンターで働く15人も同様に、地域の人々を雇用しています。さらに、正規雇用のスタッフとは別に、パートタイムのスタッフも雇っていますので、地域における雇用創出にも少なからず貢献する形となっています。

ー 採用されているスタッフは、ウイスキーづくりの経験やノウハウ、スキルなどもお持ちでいらっしゃるのでしょうか。
いいえ。スタッフを採用した後に、厳格なプログラムに基づいたトレーニングを通じて、蒸留所で働くためのスキルやノウハウを身につけてもらっています。現場での作業の進行手順や安全な作業環境を確保するための座学的な知識をはじめ、実際の生産プロセスである麦汁の仕込みから発酵中の麦汁に酵母を加えるもろみづくり、発酵の終わったもろみを蒸留してアルコール濃度を高める作業、蒸留によって出来たばかりのウイスキーである「ニューポット」を樽の中で長期にわたって寝かせる熟成に至るまで、どの工程においても一定以上のスキルが求められるため、この厳格なプログラムに基づくトレーニングは非常に重要なものと言えます。

ー トレーニングは、どのくらいの期間にわたって行われるのでしょうか。
約1年間かけて、トレーニングを行います。社外からもインストラクターを招請し、専門的な知識やノウハウ、スキルを身につけてもらうわけですが、トレーニング期間中に、ウイスキーづくりの現場で起こりがちなミスも経験してもらうようにしています。実際に蒸留所で働き始めた後に、ミスの発生という事態を出来る限り避けるために、トレーニングではOJT的にウイスキーづくりを経験してもらいながら、精度の高いスキルやノウハウを習得してもらえるように努めています。

ー 北ウェールズで最後の蒸留所が閉鎖されたのは、100年以上も前のことと聞いています。
我々としては、地域社会に様々な付加価値をもたらせるウイスキーづくりを約1世紀ぶりに再開できたことを、大いに誇りに思っています。ウイスキーづくりは、サステーナブルなビジネスであり、高付加価値商品を生産することが地域社会にもたらすメリットは小さくないだろうと考えています。我々の蒸留所を含めても、まだ4カ所しかウイスキー工場がないウェールズに、ウイスキー産業を根付かせて、国外にも輸出できるような商品に育てていくことができれば、ウェールズ経済全体にも大きな恩恵がもらされるだろうと期待しています。

ー アバフォールズ・ブランドの蒸留所を設立する以前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。
世界的に飲料ブランドを確立するビジネスに関わっていました。飲料業界で国際的に知られているようなブランドを立ち上げたり、ブランドイメージの定着や向上を図るための仕事に20年以上も携わってきました。アバフォールズ・ブランドの蒸留所設立も、その延長線上に位置していると言えますが、蒸留所設立から2年足らずで一定以上の知名度を確保してきていることについては、その20年以上に及ぶ国際飲料業界での経験やビジネスを通じて構築してきたネットワークが少なからず寄与しているのかもしれません。

ー 日本市場での可能性については、どのように考えていらっしゃいますか。
ウェールズのウイスキーやアバ・フォールズブランドを日本市場に定着・拡大していくというビジネスには、大きな可能性を感じています。日本でも、世界の他の国や地域と同じように、ウイスキーと言えば「スコッチ」というイメージが一般的かもしれませんが、「スコッチ」とは異なる「ウェルシュ」の独自性をアピールし、マスマーケット全体ではなく、特定のマーケットで独自の付加価値を認識してもらいながら、日本での新たなウイスキー需要を創造したり、ユニークな市場を開発していくことが出来ればと考えています。

ー アバフォールズ・ブランドとして、究極のゴールをどのようにイメージされていますか。
ビジネスの成功イメージとしては、皆さんが「ウェールズ」と聞いた時に「アバフォールズ・ウイスキー」が生産されている場所と思っていただけるようになることでしょうか。それは、ウェールズとともにアバフォールズも世界的なブランドとして認知してもらうことであり、「アバフォールズ=高品質」「アバフォールズ=一貫性・誠実さ」「アバフォールズ=味わい深いとても美味しいウイスキー」というイメージを国際的に浸透させることで、ウェールズそのものの認知度も高めていくことを目指していきたいと思っています。

ー どうも、ありがとうございました。

▼Aber Falls Whisky Distillery
https://www.aberfallsdistillery.com/en/


“日本の食卓に届けたい「安心安全」と「高品質」”


ジャムなどの保存食や薬味類の分野において、ウェールズでも最も高い評価を得ているウェルシュ・レディ・プリザーブズ。1970年代から半世紀近くにわたって日本市場で製品を販売してきている同社ジェネラル・マネジャーのキャロル・ジョーンズ氏が、ウェールズからの飲食貿易使節団の一員として来日し、同社の製品や日本市場への期待などについて語ってくださいました。

ー ウェルシュ・レディ・プリザーブズについて、ご説明いただけますか。
私の義父が1966年に起業したファミリー・ビジネスです。私自身は17歳だった1982年から仕事に関わるようになり、それ以来、このビジネスは私の人生の一部となってきています。現在は、私たちの子どもも仕事を手伝うようになっていますから、三世代にわたってビジネスを展開してきていることになります。ビン詰め加工が可能なあらゆる食材を商品として製造し、ウェルシュ・レディというブランドで販売していますが、市場ではレモンカードが最も代表的な商品として知られています。独自のレシピにより、レモンと砂糖、ペクチン、バターを原材料としてつくられるレモンカードは、自他ともに認めるウェルシュ・レディを象徴するものですが、現在では、商品ラインナップは17を数えるまでになりました。

ー 日本市場でウェルシュ・レディの製品が販売されるようになったのは、いつからだったのでしょうか。
1970年代末には、日本の百貨店などで販売されるようになりました。もう40年以上も前のことになりますけれども、それ以来、ウェルシュ・レディは日本との緊密な関係を維持してきており、特に、代表的な商品であるレモンカードなどは日本でも多くのファンを獲得してきています。

ー 日本以外の国々にも製品を輸出されているのですか。
はい。カナダや米国、オーストラリア、欧州各国などに輸出していますが、ウェルシュ・レディにとって、日本は2番目に大きな市場です。日本の皆さんは、ウェールズに敬意を抱いてくださっており、多くの日本企業がウェールズに進出しているのに加えて、沢山の日本人の方々もウェールズに留学していることなどもあって、ウェールズにはウェールズ語をはじめとする独自の文化があることも良く知っていて、ウェールズの歴史と伝統を尊重してくださっています。現在では、多くの日本のラグビーファンが私たちのラグビー熱まで共有してくださるようになっていて、実に心強い限りですし、日本の皆さんには本当に感謝しています。

ー 今年の秋には、日本でラグビーワールドカップ(RWC)も開催され、今まで以上にウェールズが注目を集めることになりそうです。
ウェルシュ・レディの製品は、そのブランド名からもお分かりいただけるかと思いますけれども、ウェールズでの認知度は極めて高く、レモンカードなどをウェールズの象徴的な商品にしていければと思っていますので、RWCの開催期間中には英国やウェールズからも多くの人々が日本にやってくると思いますから、彼らにも滞在中にウェルシュ・レディの製品を沢山食べていただいて、日本市場での販路拡大などにも繋がっていくようになれば嬉しいと思います。

ー 今回の飲食貿易使節団に参加されて、どのようなことを期待していますか。
私が日本を訪れることで、高品質で素晴らしい食品の生産地としてのウェールズを印象付けられるのではないかと考えていますし、ウェルシュ・レディのブランドによる多種多様な商品を紹介したいと思っています。日本の消費者の皆さんの間でも、食品の原産地に対する関心が高まっていると聞いていますし、今回の訪問を通じて、日本のバイヤーや輸入業者の皆さんにも直接、ウェールズの食品生産について説明させていただくことができます。この貴重な機会を通じて、日本の小売店舗や飲食店などにより多くのウェールズ産の食品が並ぶようになることを期待しています。

ー 日本市場でウェルシュ・レディ製品の販売を拡大していく上で、日本の消費者の皆さんに最もアピールしたい点は、どういうことでしょうか。
とにかく、一度、ウェルシュ・レディの製品を味わっていただければ、ご理解いただると思いますけれども、もともと、私の義父が始めたビジネスが三世代にわたって継続され、一貫して同じ製品をつくり続けてきていますから、その品質の高さや味わい深さなどは他に類を見ないものであると確信しています。現在、24人の従業員を雇用していますが、全員が会社から10マイル以内の地域に住んでおり、社内で話されている言語もウェールズ語です。ウェールズの食材にこだわり、ウェールズの人々が丹精を込めてつくっている製品は、「食の安心安全」という観点からも全幅の信頼をいただいています。創業以来、ウェルシュ・レディの製品は、多くの食品コンテストなどで様々な賞を受賞してきており、2001年以降だけでも70を超える賞をいただき、最高賞を2度にわたって受賞したコンテストもあります。創業者である義父がいつも言っているのは、経営者としても生産者としても「正直であれ」ということです。厳選された食材を吟味し、クォリティが担保された製品づくりを徹底するだけでなく、製品の流通や輸出にも最後まで責任を持って、お客様が安心して商品の蓋を開け、心ゆくまでウェルシュ・レディの味を楽しんでいただけるよう、誠心誠意、努力を重ねていくことを、改めて、お約束したいと思います。

ー どうも、ありがとうございました。

▼Welsh Lady Preserves
http://www.welshladypreserves.com/

|NEWS|
一流レストランやホテルのシェフから高い評価
駐日英国大使公邸でウェルシュ・ラム試食晩餐会

東京・一番町にある駐日英国大使館の大使公邸で6月6日、ウェルシュ・ラム試食晩餐会が開催されました。
晩餐会では、大使公邸シェフによる独創性あふれるラム料理10品が紹介され、出席した一流レストランやホテルのシェフからは「ウェールズ産は臭みがないのに、きちんとラムの輪郭がある新しい味わい」「ぜひ使いたい」といった声が寄せられています。
ウェールズ土着種の羊は、数百年にわたって何世代も受け継がれた飼育方法により、ミネラル豊富な高いクォリティ—のラム肉として加工されており、その60%が英国内で消費されているほか、40%はEUとアジア各国へ高級食材としてハイエンドなマーケットを中心に輸出されています。
今年1月に英国からの食肉輸入が再開された日本でも、洋食だけにとどまらず、和食や中華料理など幅広く利用されることが期待されています。

|NEWS|
昨年に続き“GIN FESTIVAL TOKYO 2019”開催
ウェールズからはペンダーリン蒸留所のジンが出品

クラフトジンの祭典である“GIN FESTIVAL TOKYO 2019”が6月8日と9日の2日間にわたり、東京・東品川の天王洲キャナルサイド B&C HALL、T-LOTUS Mや周辺施設で開催されました。
昨年は初開催だったにも関わらず、2日間で5000人の来場者数を記録して大きな話題となった同フェスティバルには、今年も21カ国・65社以上の出品・協賛企業による200銘柄以上のジンが集結。倉庫型イベントホールのB&C HALLをメイン会場に、お気に入りのジンとトニックウォーターを選んでジン&トニックを味わったり、スペシャルカクテルを楽しんだり、無料セミナーに参加したり、様々に楽しむことができました。
ウェールズからは唯一、ペンダーリン蒸留所のブレコンボタニカルズジンが出品。美しいボトルとフレッシュなハーブやスパイスの斬新な香りが特徴のブレコンボタニカルズジンは、来場者の注目を集めています。
昨年のメイン会場だった隈研吾監修による美しい船舶のイベントスペースであるT-LOTUS Mでは、スペシャルコンテンツとして“All ABOUT UK GINエキシビション”が開催され、本場・英国におけるジンの歴史や製法を紐解き、伝説に彩られた代表的な銘柄のジンにフォーカスし、現在の世界的なジンのムーブメントやその魅力なども紹介しました。
英国のジンの歴史を語るプラチナ・コレクションでは、北ウェールズのアバフォールズ・ウイスキー・ディスティラリーと西ウェールズのダヴィール社のジンも展示されました。アバフォールズ・ウイスキー・ディスティラリーは、2017年に北ウェールズで100年以上ぶりの蒸留所として設立されたことでも注目されており、ウェールズ産の素材でジンなどをハンドクラフトで製造しています。
さらに、T-LOTUS Mでは、英国産ラム肉を使った食事メニューを楽しめる“Bar Great”も登場して、人気を集めていました。

編集後記

ウェールズから日本へは初めてとなる飲料と食品に特化した貿易使節団が6月中旬に来日し、駐日英国大使館でのセミナーや商談会、レセプションなどを通じて、日本側の関係者に「食のウェールズ」の魅力をアピールしました。今年秋のラグビーワールドカップに続き、来年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されることから、クォリティの高いウェールズ産品の輸入を求める日本の事業者も多いため、今年1月の牛肉・ラム肉の日本への輸入解禁を弾みに、日本市場におけるウェールズ産品の浸透が一気に進むことも期待されるところです。

次号は2019年7月8日に発行予定です。お楽しみに!

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