日本への輸入解禁で注目されるウェールズの極上ラム肉|Wales Now Vol.60

発行日:2019. 3. 25

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


“ウェールズの極上ラム肉を日本の皆さんに”



3月5日から8日まで千葉市の幕張メッセで開催された第44回「国際食品・飲料展」(FOODEX JAPAN 2019)に出展するため、ウェールズ食肉輸出促進協議会(HCC)のRhys Llywelyn市場開発マネージャーが英国産肉貿易使節団の一員として来日しました。今年1月、英国産肉の日本への輸入が解禁されたことから、高級食材として国際的にも知られているウェールズ産ラム肉に対する日本市場での注目も高まっています。日本での販売促進計画などについて、Llywelynマネージャーに語っていただきました。

ー 今回の来日目的をお聞かせください。
今回の来日は、英国産肉貿易使節団の一員として“FOODEX JAPAN2019”に出展するためですけれども、23年ぶりに英国産肉の日本への輸入が解禁され、ウェールズのラム肉を広く日本市場でプロモーションしていくための足場づくりが最も大きな目的です。高級食材として知られるウェールズ産ラム肉は世界各国へ輸出されていますが、食品についてもクォリティ志向の強い日本は、理想的な市場であると考えています。今年秋には日本でラグビーワールドカップ(RWC)が開催され、大会に出場するウェールズ代表チームの活躍を通じて、日本でウェールズへの関心も高まることになるでしょうから、その貴重な機会を活用して日本市場でのウェールズ産ラム肉への認知度も高めていけるだろうと期待しているところです。

ー ウェールズ産ラム肉は、主にどういった国に輸出されてきているのでしょうか。
ウェールズ産ラム肉は、その60%が英国の国内で消費されていますが、残りの35%がEU各国へ、残りの5%がそれ以外の国々へ輸出されています。EU域内では、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スカンジナビア諸国などが、ウェールズ産ラム肉の主な消費国です。アジアは全体の1%未満ですけれども、日本をはじめアジア各国への輸出も拡大していきたいと考えています。日本市場については、量よりも質を重視し、ハイエンドのレストランやスーパー、ホテルなどを通じて、クォリティ志向の消費者の皆さんにウェールズ産ラム肉を味わっていただければと思っています。伝統的な日本料理などでも、ラム肉を使ったメニューを工夫していただけるように働きかけていく方針です。もちろん、ウェールズや英国、欧風の調理方法なども周知を図っていきたいと思います。


ー ウェールズ産ラム肉の特徴やセールスポイントなどについて、ご説明いただけますか。
ウェールズ産ラム肉生産の基盤となっている原則が一つあり、それは、約束通りのクォリティをお届けすることです。このシンプルな理念に従うことで、ウェールズ産ラム肉というブランドは、ダイナミックで厳しい産業の最前線に躍り出ることが出来たのです。ウェールズの農場主は長年にわたって、極上のラム肉生産で世界中から高く評価されてきました。また、ウェールズ産ラム肉の輸出業者にとって、物流サービスの信頼性は最もプライオリティーの高い事項です。ヨーロッパやその他の地域でも、期日通りの配送と行き届いたアフターサービスを提供することで、市場における地歩を確立してきています。

ー 極上のラム肉生産は、ウェールズの気候・風土や自然条件とも深い関りがあるのでしょうか。
家畜が飼育される環境は、ジューシーで甘みがあり、柔らかい肉を生産するための非常に大切な要素です。ウェールズ産ラム肉の仔羊は、丘や谷に広がる緑豊かな牧草地でのびのびと飼育されています。温暖な気候、ミネラルを豊富に含んだ土壌、豊かな自然環境が極上のラム肉生産のポイントです。ウェールズ土着種の羊は、世界でも有数の手つかずの自然の中で、年間を通じて豊かな牧草が自生しているウェールズの大地で繁殖を繰り返してきました。ウェールズ産ラム肉の評判と比類ないクォリティは、長い歴史を持つ伝統的な畜産ノウハウと、何世代にもわたって受け継がれてきた飼育の専門知識、そして、豊かな大自然の牧草地が生み出してきたものなのです。

ー HCCの組織や活動について、教えていただけますか。
HCCは、世界の主要市場でウェールズ産赤身肉(牛・豚・ラム)輸出業者の事業機会を発展、強化させるために活動している組織です。ウェールズでは、数多くの大手および独立系小売業者や農家の市場・食品サービス業者との協働により、地理的表示保護指定(PGI)ウェールズ産ラム肉の定期的な販売促進キャンペーンも展開しています。さらに、サプライチェーンに対する適切な産業調査や、サプライチェーンの発展にも取り組み、ウェールズの赤身肉産業がクォリティを向上させ、コストパフォーマンスを高め、サプライチェーン全体で赤身肉商品の価値を高めることができるよう努力を重ねています。

ー ご自身もウェールズのご出身でいらっしゃいますか。
西ウェールズのLlanllwniで生まれ育ち、現在は、北ウェールズのDolgellauに住んでいますから、生粋のウェールズ人と言えるかと思います。

ー ご趣味も教えていただけますか。
こう見えても、若い頃はラグビーをやっていましたが、現在は、ジュニア・チームの指導をしています。釣りも大好きで、海でも川でも湖でも楽しみますし、空手から派生したキックボクシングもやりますし、マウンテンバイクにも乗ります。なんといっても、今年は日本でRWCが開催され、わがウェールズ代表チームも出場しますから、今年の秋には必ず、もう一度来日して、試合会場に足を運んでレッドドラゴンズを力の限り応援するつもりです。

ー どうも、ありがとうございました。


“~ウェールズ・サイバーセキュリティ最前線シリーズ 第2弾~
サイバーセキュリティ対応でビジネスチャンス拡大も”


今年2月27日、駐日英国大使館でウェールズ政府日本代表事務所と一般社団法人セキュリティ人材育成機構が共催したセミナー「英国ウェールズにおけるサイバーセキュリティ最前線」に出席するため、サイバーセキュリティの分野で世界の最前線を走るウェールズから、サウスウェールズ・サイバーセキュリティ・クラスターの創設メンバーで、現在も中心的な役割を果たしているスペシャリスト3人が来日しました。そのうちの一人である弁護士でRDP Law Limitedパートナーでもあるケリー・ベイノン氏に、ウェールズにおけるサイバーセキュリティの現状や今後の展望などについて、法律的な側面を軸にお話をお聞かせいただきました。

ー 今回の来日目的を教えていただけますか。
日本の経済産業省によると、日本では2020年にはサイバーセキュリティ人材が20万人も不足するとみられています。そうした事態に対処するため、2018年11月に設立されたのがセキュリティ人材育成機構で、その設立に当たっては英国ウェールズ政府が協力し、同機構では世界のトップレベルにあるウェールズの複数の大学との連携を通じて、日本国内におけるセイバーセキュリティ技術と人材の底上げを図ることを目指しています。今回の来日は、同機構の設立時から計画されていた日本でのセミナー開催が実現することになり、同機構による招聘を受けたものです。

ー サウスウェールズ・サイバーセキュリティ・クラスターについて、ご説明ください。

欧州では、2009年にエストニア政府がサイバー攻撃を受けるという事態が発生した後、EU加盟各国が本格的なサイバーセキュリティ対策に乗り出しました。英国政府も2011年に、それまでの国家セキュリティ戦略を国際的なテロ対策や軍事危機対策、自然災害対策と並ぶ政府レベルでの安全保障政策の最優先項目と位置づけることになるのです。同年11月には英国サイバーセキュリティ戦略が発表され、政府として従来よりも信頼性が高くより強靭なデジタル環境を構築することで、国家として安全保障を担保し、経済的な繁栄も支えるという方針が打ち出されました。こうした英国政府の動きを受けて、英国国内各地でもサイバーセキュリティーに関わるステークホルダーが連携するスペシャル・インタレスト・グループとして「サイバーセキュリティ・クラスター」の形成が進みましたけれども、この「サイバーセキュリティ・クラスター」形成に迅速な対応と支援を行ったのがウェールズ政府でした。その結果、サウスウェールズ・サイバーセキュリティ・クラスターは、英国国内で3番目のサイバーセキュリティ・クラスターとしてスタートし、現在では、200以上の企業や団体・組織などによって構成される英国でも最大規模のサイバーセキュリティ・クラスターへと成長するまでになったのです。

ー 弁護士という立場で、様々な問題に対応される中、サイバーセキュリティの分野に特化して仕事をされるようになった経緯や背景などをお聞かせいただけますか。
まず、最初に、私の個人的な事情というよりも、一般論的に状況を説明させていただくと、例えば、窃盗事件や暴力事件などの犯罪行為が発生した時には、警察に連絡するのが当たり前ですけれども、企業秘密を盗み出すような産業スパイであるとか、いわゆる組織内のネットワークなどがサイバー攻撃を受けたりした場合には、企業はまず、警察ではなく弁護士のところへ相談に行くのが通例です。私が仕事をしている法律事務所でも、インターネットが普及してあらゆるビジネスがネットワークを通じて行われるようになってくるのに伴って、サイバーセキュリティに関わる事案も多くなり、私がそうした事案を中心に担当するようになったというわけです。その結果、知的財産権や情報技術、データ保護などが私の専門分野となりました。

ー 先日、英国大使館で開催されたセミナーでも、EUで昨年5月から施行されている一般データ保護規則(GDPR)をめぐる法務面での対応について講演されましたけれども、改めて、欧州の企業や顧客とのビジネスを行っている日本企業が留意すべきポイントを簡単に教えていただけますか。
GDPRが適用される対象は、メールやデータベースといったデジタルの個人情報だけでなく、紙で扱われる個人情報も含まれることにも配慮しなければなりません。また、地理的な適用範囲としては、民間事業者の場合、基本的に拠点が欧州にある企業ですけれども、EU域外でのビジネスであっても、EU市民の個人情報を扱う場合にはGDPRが適用されますから、法人だけでなく個人も含めたEUとの繋がりがポイントです。さらに、大量の個人情報を扱う企業では、データ保護オフィサーを任命することなども求められます。サイバーセキュリティは、GDPRでは最も重要な規定となっているため、企業としては、サイバーセキュリティに関わる組織的な対応や技術的な対応を定期的に検証して、評価する必要があります。GDPRに従っていないと、最大で当該企業の全世界における年間売上高の4%以下、もしくは、200万ユーロ以下の何れか高い方が罰金として適用されますし、場合によっては、民事訴追や刑事訴追の可能性も出て来ることを視野に入れておかなければなりません。

ー 日本の企業にも、まさに、世界標準の厳しい対応が求められることになるわけですね。
確かに、GDPRの施行によって、個人情報に関わる企業の社会的責任が一方的に増すばかりと感じられるかもしれませんが、逆に、個人情報への対応をめぐってビジネスチャンスも大きく広がってくると思います。企業が組織としてGDPRに対応していれば、競合他社よりも優位に立つことができますし、将来の見込顧客とのビジネスにも繋がっていくわけですから、GDPRへの対応を問題や課題としてだけではなく、ソリューションを見出す機会として捉えることも大切かと思います。

ー どうも、ありがとうございました。

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ウェールズが欧州6カ国対抗で全勝優勝
ラグビーの世界ランキングも2位に上昇

ラグビーの欧州6カ国対抗(シックスネーションズ)で、ウェールズのラグビー代表チーム「レッドドラゴンズ」が、5戦全勝で6年ぶりの優勝を果たしました。
レッドドラゴンズによるグランドスラム(5戦全勝)は2012年以来のことで、レッドドラゴンズのテストマッチでの連勝記録は14に伸びています。
また、ラグビーの国際統括団体「ワールドラグビー」が3月18日に発表した最新の世界ランキングで、ウェールズは1位のニュージーランドに続く2位に上昇。今年9月から11月まで日本で開催されるラグビーワールドカップ(RWC)で、有力な優勝候補として注目されることになりそうです。

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北九州市で「ラグビーウェールズ交流プログラム」
3月23日から27日までコーチ・審判研修やラグビー教室など

今年9月から11月まで日本で開催されるラグビーワールドカップ(RWC)に出場するウェールズ代表チームがキャンプを行う北九州市で、3月23日から27日まで第2回「ラグビーウェールズ交流プログラムin北九州」が開催されます。
この交流プログラムは、ウェールズ代表チームが北九州市でキャンプを行うのを記念して、ウェールズラグビー協会(WRU)が北九州市民に本場であるウェールズのラグビーを伝道しようと、ラグビークリニックをはじめとするプログラムを北九州市側に提案したもので、既に昨年8月に第1回の交流プログラムが実施されました。
3月23日から5日間にわたるプログラムでは、北九州ラグビー協会が募集した地域のコーチや審判に対する研修、大人向けと子ども向けのラグビー教室、高校生向けラグビー教室、タグラグビー体験会、ウェールズラグビー・トークイベント&ラグビー体験会などが予定されています。
WRUでは、これまでも世界各地で同様のプログラムを実施してきており、その実績と蓄積されたノウハウに基づいた質の高いプログラムには、地元からの期待も高まっています。

編集後記

日本で開催されるラグビーワールドカップ(RWC)が半年後に迫る中、ウェールズ代表チームがシックスネーションズをグランドスラムで制覇し、6年ぶりの優勝を果たしました。これで、テストマッチの連勝記録を14まで伸ばすと同時に、最新の世界ランキングでもニュージーランドに次ぐ2位まで上昇し、一気にRWCでの優勝候補として浮上する形となっています。「4年に一度」ではなく「一生に一度」かもしれない日本でのRWCという夢舞台で、ウェールズ代表チームがウェブ・エリス・カップを掲げるシーンを見られるよう祈らずにはいられません。

次号は2019年3月31日に発行予定です。お楽しみに!

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