姉妹城提携へ向けて深まる日本との絆|Wales Now Vol.57

発行日:2019. 2. 2

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


“「姉妹城提携」通じてコンウィ市と姫路市の友好親善を推進”


昨年、コンウィ城と姫路城の姉妹城提携で基本合意し、覚書を取り交わしたコンウィ市と姫路市。そのコンウィ市から前市長のビル・チャップマン市議会議員がこのほど、姫路市を訪問しました。チャップマン氏に、姉妹城提携の背景や実際に訪れた姫路城の印象などをお聞かせいただきました。

ー 今回の来日目的を教えてください。
私は昨年までコンウィ市長を務めていましたが、今回の来日では、私の在任中に取り組みを始めたウェールズと日本との関係構築をさらに進めることを目指しています。コンウィ市と姫路市は昨年、コンウィ城と姫路城の姉妹城提携を内容とする覚書に調印しましたが、この覚書への調印が実現した背景には、姉妹城提携の構想を最初に提案したウェールズ政府日本代表事務所の前代表による功績が大きかったことを申し添えなければなりません。「タイガー」とも呼ばれた積極果敢な前代表の構想に基づいて、私も世界文化遺産同士であるコンウィ城と姫路城の姉妹城提携を通じ、コンウィ市と姫路市の友好親善を進めることができればと考えるようになりました。

ー これまでも何度か日本にいらっしゃっているのでしょうか。
いいえ、今回が初めての来日です。日本へ来たのは初めてですけれども、沢山の成果を伴ってウェールズへ帰ることができると確信しています。

ー コンウィ城と姫路城の姉妹城提携に向けた動きについて、教えていただけますか。
さきほども話した通り、既に、コンウィ市と姫路市の間では、姉妹城提携について基本的に合意する覚書が取り交わされていますが、今年10月に予定されている姉妹城提携の正式調印に向けて、より具体的な内容について詰めの話し合いが行われることになります。今回の私の来日は、その準備のための協議を行うことも、目的のひとつです。

ー 姉妹城提携の覚書が取り交わされた時には、どのようにお感じになりましたか。
世界遺産同士であるコンウィ城と姫路城の姉妹城提携という「夢」が実現したことを実感でき、本当に素晴らしい瞬間でした。覚書に調印するために、姫路市の石見利勝市長がコンウィを訪問され、姉妹城提携に向けて準備を進めてきた私たちの努力をご確認いただくと同時に、実際にコンウィ城をご覧になったり、コンウィの人々とも交歓されたり、コンウィという場所についても深くご理解いただけたことと思っています。姉妹城提携の覚書調印式には、コンウィ市の行政関係者だけでなくビジネス関係者も出席して、私たちが準備段階で培ってきた姫路市との関係をさらに強化していく決意を新たにしてもらうこともできました。

 ー 初めての来日で、実際に姫路城をご覧になって、どんな印象をお持ちになりましたか。
まず、最初に遠くから姫路城を見た時に、そのあまりの美しさに本当に感動しました。また、姫路市の市街地を見下ろすように聳える偉容は、神々しくさえ思えるほど立派に見えました。実際に姫路城を訪れて、ガイドツアーでその築城の背景や現在にいたるまでの歴史など、様々な知識を得ることができ、改めて、コンウィ城との姉妹城提携が実現するという感慨を新たにさせてもらっています。

ー コンウィ城についても、改めて、ご説明いただけますか。
平地の高台に聳える姫路城は、その威厳に満ちた偉容が印象的な城ですが、スノードニア山地を背景に佇むコンウィ城も、また、長い歴史を感じさせる重厚な雰囲気をたたえる古城です。姫路城と同様に築城から700年以上を経ているコンウィ城には、北ウェールズの様々な歴史が刻まれており、城壁に囲まれたコンウィの街とともに、訪れる人々には、積み重ねてきた歳月の重さを実感していただけるのではないかと思います。そうした歴史的な価値が高く評価されて、コンウィ城は1986年に世界文化遺産に登録されました。

ー エスペラント語の使い手でもあるとお聞きしています。
1960年代の初め、私がまだ17歳だった頃にエスペラント語を学び始め、もう50年以上にわたってエスペラント語を話してきています。世界の様々な場所で何が起きているかということに興味があった私は、特に、当時の共産圏のヨーロッパで何が起きているかを知りたかったので、ポーランドで生まれたエスペラント語を学ぶことは、とても有益だったのです。このエスペラント語を学んだことを契機に、私の語学への関心も広がっていき、現在は、英語、ウェールズ語、フランス語、ドイツ語、そして、エスペラント語という5つの言語を話せるようになりました。

ー ご自身も、ウェールズのご出身でいらっしゃいますか。
いいえ、私はイングランドのレスター出身です。でも、ウェールズに住み始めてもう40年近くになりますので、私の身体に流れているのはウェールズの血に代わっていますから、自分ではウェールズ人だと思っています。

ー どうも、ありがとうございました。


“日本でも人気を集めるウェールズの高級ブランド「手づくりジャム」”


マックラーレン陽子さん(後列中央)と池田美恵子H&I会長(前列)、H&I社員の皆さん

英国の高級ブランド食品を日本で輸入販売している株式会社エイチ・アンド・アイ(H&I)。英国王室御用達の製品を輸入しているH&Iが取り扱う高級ブランド食品の中には、ウェールズ産の超人気手づくりジャムも含まれています。H&Iの代表取締役社長を務めるマックラーレン陽子さんに、同社の事業展開やウェールズの印象などをお聞きしました。

ー H&Iの事業内容を教えていただけますか。
英国と美術を通じて深い関りを持っていた父・池田廣一は、1958年に株式会社美術会館を設立して、日本と英国の美術文化交流に貢献していましたが、1971年に英国を含めた欧州製品の貿易業務や日本国内での販売業務を拡大するため、株式会社エイチ・アンド・アイを設立しました。1972年に大丸によるパリの国際センターへの進出を斡旋したり、1973年には日本ではまだ珍しかった「システム・キッチン」を北欧から輸入して国内に定着させ、その後もスウェーデンからプレハブ住宅「スカンディナハウス」を輸入して販売するなど、欧州の多様な製品を取り扱っていました。1980年代に入ってから、英国とドイツ(当時は西ドイツ)の各社と日本での総代理店契約を結んで販売活動を強化し、特に、英国王室御用達の製品や各種の高級製品を取り扱うようになりました。現在は、英国の高級ブランド食品に特化して、日本での輸入販売を行っています。

ー 英国の高級ブランド食品は、具体的にどういった商品を扱っているのでしょうか。
タイフー社のリッジウェイ紅茶、コッツウォルド・ハニー社のコッツウォルドハニー、ジョン・ロス・ジュニア(アバディーン)社のジョンロスJrスモークサーモン、キャンベル社のR-Oil(アールオイル)という4つのブランドはイングランドの商品、ウェンディ・ブランドン社のウェンディさんの手作りジャムがウェールズの商品、プレミア社のサーソンモルトビネガーがスコットランドの商品というラインナップとなっています。

ー 取り扱っていらっしゃる商品は、どのように選ばれているのでしょうか。
日本でも英国産の多くの食品が販売されてきましたけれども、英国で本当に愛されている製品の多くは、その生産量や保存期限などの制約から、日本のお客様のお手元に届くことは殆どありませんでした。英国を愛して止まなかった父や30年以上にわたって英国に住んでいる私は、それぞれの経験や出会いなどから見つけ出した“本当の英国食品”を日本のお客様に届けたいと考え、輸入販売事業を始めるにいたりました。近年では、交通機関の利便性も高まって、日本から遠く離れた英国食品の一部を、そのまま日本のお客様に届けられるようになっています。H&Iの取り扱う商品は、英国内で高い評価を受けながらも、日本ではなかなか味わうことのできない“生粋の英国食品”であると自負してきました。長年にわたって英国と日本の交流を大切にしてきた私たちだからこそ紹介できる至高の製品を是非ご堪能いただければと思っています。

ー ウェールズの製品である「ウェンディさんの手づくりジャム」について、ご説明いただけますか。
ウェンディさんの生家に伝わる秘伝のレシピにもとづいて、新鮮なフルーツを通常よりも2~3倍もたっぷりと使った濃厚で味わい深いジャムです。ペクチンは一切使わずに、西インド諸島で栽培された最上級のサトウキビ糖を加えて手鍋で丁寧に作るので、色合いも鮮やかですし、果実本来の味覚をこころゆくまで楽しんでいただけると思います。英国の田舎生活を発信するライフスタイル・マガジン『カントリー・リビング』による“プロの料理人コンテスト”で金賞も受賞した「ウェンディさんの手づくりジャム」は、今や英国VIP御用達の最高級ジャムとして熱い支持を集めていますが、工場ではなくキッチンで作る製品は大量生産ができませんから、英国でもハロッズ、コンランショップ、マンダリン・オリエンタルホテルなど五つ星ホテルのアフタヌーンティーで使われるほどで、一部の高級な有名店でしか購入できない希少品と言えるでしょう。

ー英国に30年以上もお住まいで、製品の仕入れ先である英国内の各地も頻繁に回られているそうですけれども、ウェールズにはどんな印象をお持ちでしょうか。
ウェールズでは、今もウェールズ語が話されていますし、地域のアイデンティティをしっかりと持った独自性の強いエリアという印象を持っています。そのためか、ウェールズの人たちも最初はとっつきにくい感じを受けてしまうかもしれませんけれども、いったん親しくなれば、心の奥でつながりあうような深い付き合いができるようになります。ウェンディさんはウェールズ人ではありませんけれども、ウェールズでの田舎暮らしも長く、私たちも家族ぐるみの付き合いをさせていただいています。日本のデパートで開催された英国フェアに参加するために来日された時は、自宅にもお招きして母の着物を着ていただいたりしました。ウェールズには、1970年代から数多くの日本企業も進出してきていますけれども、ウェールズ人のメンタリティも日本人に近いように感じています。

ー どうも、ありがとうございました。

|NEWS|
チャップマン前コンウィ市長が姫路市を訪問
「姉妹城提携」ベースに相互交流強化へ意見交換


ウェールズから前コンウィ市長のビル・チャップマン同市市議会議員が来日し、1月24日と25日の両日、兵庫県姫路市を訪問しました。
コンウィ市と姫路市は昨年7月、ともに世界文化遺産であるコンウィ城と姫路城の姉妹城提携に向けて覚書を取り交わしており、チャップマン議員は今年10月に予定されている姉妹城提携の正式調印に向け、姫路市観光文化交流局の担当者と意見交換を行っています。
また、姫路市立公園自然観察の森ネイチャーセンターを訪れたチャップマン議員は、公益財団法人日本野鳥の会の取り組みについて説明を受け、コンウィのバードウォッチングクラブとの提携などの可能性を探ったほか、英語教育をベースとした中学校や高校の間における国際交流に向けて、姫路市からコンウィの小中学校や高校との交流を希望する学校のリストも提示されました。
昨年7月の覚書調印では、姫路市の石見利勝市長を団長とする使節団がコンウィを訪問しており、今回のチャップマン議員による来日では、石見市長を表敬訪問したほか、野鳥自然公園や天台宗別格本山・書寫山圓教寺なども訪れています。
初めての来日だったチャップマン議員は、コンウィ城と姉妹城提携する姫路城でウェールズと日本の歴史を心の中で辿りながら階段を登り、天守閣からしゃちほこ越しに姫路城を臨んで、思わず感嘆の溜め息を漏らしました。
今年9月から11月にかけて、日本ではラグビーワールドカップが開催され、ウェールズ代表チームや日本代表チームが熱い戦いを繰り広げることになりますが、その大会期間中の10月下旬に姉妹城提携の正式調印が姫路市で行われる予定で、チャップマン議員による来日は正式調印に向けて確かな一歩を重ねるものとなっています。

|NEWS|
ウェールズ産のラムも日本への輸出を解禁
厚労省が英国産牛肉などの輸入手続き再開

厚生労働省は1月9日、食品安全委員会の食品健康影響評価結果を踏まえた英国政府との協議などが終了したことを受けて、英国産牛肉などについて同日付で輸入手続きを再開しました。これにより、ウェールズ産のラムも日本への輸出が再開される見通しで、日本でも「世界一美味しい」と言われるウェールズ産のラムを味わうことができることになりそうです。
牛海綿状脳症(BSE)発生国である英国の牛肉、牛臓器とそれらを原材料とする食肉製品については、1996年3月から輸入手続きが停止されていましたが、厚労省は一昨年8月に食品安全委員会に輸入再開のための輸入条件について諮問しており、昨年2月に同委員会から食品健康影響評価結果が通知されています。
厚労省はこの評価結果を踏まえ、英国政府との対日輸出条件についての協議を行うとともに現地調査も実施して、英国産牛肉と牛臓器だけでなく、英国産めん羊肉とめん羊臓器についても、一部の部位などを除き、輸入手続きを再開することにしたものです。

|NEWS|
スランドゥドゥノの貴族・モスティン卿も登場
NHK・BSプレミアム「イギリス 白馬の王子さまに会いたい!」

1000年近くに及ぶ歴史を誇る英国王室の栄光を支えてきた国王を頂点とする英国貴族の華麗な世界を紹介する特集番組「イギリス 白馬の王子さまに会いたい!」が2月9日、NHK・BSプレミアムで19時30分から21時までの1時間半にわたって放送されます。
英国には現在、およそ800人の世襲貴族が存在しており、21世紀に入った今も貴族が社会で大きな役割を果たしています。
番組では、「不思議の国のアリス」の物語ゆかりの地として知られるスランドゥドゥノの貴族であるモスティン卿も登場し、広大な敷地や豪華な邸宅も紹介されます。
普段は垣間見ることすらできない英国貴族の華麗なる世界を、皆さんも、是非、ご覧になられてはいかがでしょうか。

モスティン卿は番組のイントロ後、最初に18分登場します(6分から23分ぐらいまで)。本番組ではプリンスを5人紹介しますが、一番長い出演の予定です。

「イギリス 白馬の王子さまに会いたい!」
NHK・BSプレミアム
2月9日(土)19時30分~21時00分
【出演】アミラ・レイナー 【語り】天海由梨奈,弘中くみ子,新井秀和
http://www4.nhk.or.jp/P5510/

編集後記

コンウィ城と姫路城の姉妹城提携の正式調印が、日本で開催されるラグビーワールドカップの大会期間中となる今年10月に予定されています。ともに700年を超える長い歴史を誇る世界文化遺産同士の姉妹城提携は、ウェールズと日本の絆を一層深めるものとして、将来にわたる関係構築の取り組みが今から期待されるところです。

次号は2019年2月15日に発行予定です。お楽しみに!

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