日本市場への進出に意欲を示すウェールズ企業|Wales Now Vol.53

発行日:2018. 12.3

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“魅力的な日本市場で本格的なビジネス展開に期待”



溶接パージ機器の開発・設計・製造という分野で40年以上にわたり、世界をリードしてきたハンティンドン・フュージョン・テクニクス(HFT)。市場ニーズに応える新たな製品開発で世界のトップを走り続ける同社のセールス・技術サポート部門で流通と顧客を担当するルーク・キーン氏に、日本市場での本格的なビジネス展開への期待などをお聞きしました。

ー HFTという会社について、簡単にご説明いただけますか。
HFTは1975年に、イングランド東部のケンブリッジシャーにあるハンティンドンで設立された会社であり、溶接パージ機器の開発・設計・製造という分野で世界をリードしてきたことで知られています。創業メンバーは何れも冶金加工技術や気体物理学のスペシャリストで、皆、博士号レベルの教育バックグラウンドを持ち、それぞれの分野で50年以上の経験を積んできました。世界で初めてとなる溶接・パージのモニター開発に成功し、溶接・パージのモニターは現在、世界的な標準装置にまでなりました。市場ニーズに応える技術的進歩を維持してきている企業として、新たな製品の開発や進歩をもたらす国際的なトップランナーの役割を果たしてきています。

HFTBrickLogo
ー 特に、HFTのオリジナリティや独自技術として先端的な事例には、どのようなものがあるのでしょうか。
トレース技術や安全技術の重要性を十分に理解しているHFTとしては、やはり、世界に先駆けて成功を収めた分野でもありますけれども、独自技術で開発してきた溶接・パージのモニター製品群は、溶接・パージにおける重要課題であるトレースや安全を担保するものとして“唯一無二”の評価を受けてきていると自負しています。ステンレス鋼などの溶接ではパージングが不可欠ですが、独自技術で開発した可膨張式装置と溶接パージモニターを利用すれば、パージングにかかる時間とコストが大幅に削減され、仕上がりも美しいものに出来ます。

ー HFTの製品やサービスで、現在、前面に打ち出しているものを教えてください。
1~96インチのパージ装置と1ppmの精度で測定可能な溶接パージモニターは、今も説明させていただいた通り、最も強調したい製品ということになります。さらに、トリアフリーのタングステン電極と乾式タングステン電極研磨機を独自技術で製造しているほか、アルミやスチール、ナイロン、固形ゴムなどの素材を用いた幅広い機械式パイププラグ、ストッパーなどの製品や、液体二酸化炭素と液体窒素のオプションがあるパイプ凍結キットなども提供しています。

ー 日本市場へのアプローチは、今回が初めてとなるのでしょうか。
そうです。本格的な日本市場へのアプローチは、ウェールズ貿易使節団の一員として来日した今回が初めてということになります。HFTの製品は既に、極東地域における設計・調達・建設の大手事業者の間で、広く利用されていますけれども、特に、美しく光沢のある酸化物フリーの溶接をサポートする様々なイノベーション技術は、是非、日本市場に紹介させていただきたいと思っています。また、日本市場では、原子力発電所関連の施工業者とのビジネスチャンスも豊富なので、その意味合いでも、HFTにとっては極めて魅力的なマーケットですから、潜在顧客への販売や技術サポートなども可能な独占販売代理店との契約を通じて、緊密なビジネス関係の構築ができればとも考えています。

ー ウェールズに拠点を置くメリットとして、どのようなことがあるとお考えになりますか。
10年ほど前に、ウェールズ西部のカーマーゼンシャーにあるバリーポートに拠点を移しましたが、カーディフから車で1時間、スウォンジーからも1時間半という距離です。HTFが拠点を置く場所については、高速道路沿いに立地し、港湾や空港からも近いということを最優先しています。また、今回、ウェールズ貿易使節団の一員として来日できたように、ウェールズ政府による様々な支援を受けることが出来るのも、ウェールズに拠点を置くことの大きなメリットのひとつです。そして、ウェールズに拠点があって良かったと思う理由として、何と言っても、自然が美しく、景観が素晴らしいということも忘れてはなりません。私自身も、その素晴らしく美しい自然景観の中で、趣味のウォーキングやハイキングを存分に楽しませてもらっていますから。

ー どうも、ありがとうございました。


“日本市場で高級食材のブルーロブスターをアピール”


東側を除く三方を海で囲まれたウェールズは、漁業の盛んな地域としても知られ、ウェールズの料理には魚介類もふんだんに使われています。そのウェールズのアングルシー島から、世界中にブルーロブスターなどを輸出しているのがロブスターポットです。ウェールズ貿易使節団の一員として来日したロブスターポットのジュリー・ヒル部長に、同社の事業や日本市場での可能性などについて語っていただきました。

ー ロブスターポットの事業などについて、ご説明ください。
ブルーロブスターやブラウンクラブなどの甲殻類のサプライヤーとして、商品の99%を欧州やアジアなどに輸出しています。もともと、私の祖父母がウェールズ北西部に位置するアングルシー島で、1946年にロブスター・ティーをメニューに加えたロブスターポット・レストランを開業し、祖父母の娘のリンディが1989年にレストランを継ぎました。リンディは私の母ですが、その息子のトリスタンが甲殻類の貿易ビジネスを始め、食材を母のレストランにも供給するようになったのです。私も現在、弟の貿易ビジネスに携わっており、持続可能な漁法によって獲られたエビやカニの輸出事業を担当しています。
lobster pot

ー ロブスターのレストランが甲殻類を輸出するサプライヤーの原点になったわけですね。
そうです。海に面した絶景のロケーションが素晴らしく、家族的な雰囲気を前面に打ち出したレストランは、新鮮な食材と美味しい料理で人気を集めるようになりました。調理されるエビやカニは、レストランに隣接するロブスターポットの施設にある貯蔵タンクから供給されていますから、その鮮度はどこのレストランにも負けません。ブルーロブスターは高級食材として人気が高く、英国人はあまりロブスターを食べませんから、フランスをはじめとする欧州各国や中東・アジアの国々などに輸出されています。

ー ブルーロブスターやブラウンクラブなどは、近海に漁場があるのですか。
lobster pot仕入れ先となっている小型船は、ウェールズ周辺の沿岸部を中心に漁獲を行っており、英国各地出身の熟練クルーが操業しています。仕入れ先の漁業者とは、ロブスターポットのレストランが開業した70年前からの付き合いがあり、いわゆる「生産者の顔が見える」形で食品の安全や安心を確保しながらビジネスを続けてきました。漁獲物を貯蔵するタンク室や商品を梱包するエリアには、近代的で厳格な管理システムが導入されており、トレーサビリティの要件や食品安全の基準を満たす最新の技術や機材を活用しています。さらに、商品が常に最高の状態で届けられるように、最先端の工場設備と先進的な物流システムを確立して、素材の鮮度についても定期的なチェックが実施されています。

ー ロブスターポットとして、これまで日本市場で取り引きを行った相手先はあるのでしょうか。
日本市場での本格的なビジネス展開は行ったことがありませんから、今回のウェールズ貿易使節団の一員としての来日を契機に、日本でもロブスターポットのエビやカニを食べていただけるようにしていきたいと考えています。世界各地で実績を積み重ねてきた既存顧客との取り引きを継続しながら、日本市場でも甲殻類卸売業者との良好なビジネス関係を構築していくことができればと思っています。

lobster pot

ー 日本市場の可能性については、どのように考えていらっしゃいますか。
日本にも、ロブスターの一種である「伊勢海老」を中心とした伝統的な食文化があると知りましたし、神仏への祈願や幸運と不老長寿をもたらす祝祭の食材としても「海老」が生活に根付いているとお聞きしました。残念ながら、ウェールズ沿岸で獲れるブルーロブスターについては、まだ、日本ではあまり知られていないようですけれども、世界的には高級食材として評価されているロブスターなので、日本の皆さんにも喜んで食べていただけるものであることは間違いないと考えています。日本でも、同じ海産物であるサーモンについては、アラスカ産をはじめノルウェー産やチリ産などが知られており、アラスカのキングサーモンはブランドとしても確立されているようです。また、フランスやイタリアのワイン、オーストラリアやニュージーランドのビーフなど、海産物以外でも、日本でブランドイメージが浸透している海外の食品は少なくないようですから、ウェールズのブルーロブスターも、そのブランドイメージを確立できるように様々な工夫を考えていきたいと思っています。来年は、ラグビーのワールドカップが日本で開催されますから、ラグビーが国技で世界的な強豪国のひとつウェールズの代表チームが活躍してくるでしょうし、コンウィ城と姫路城の姉妹城提携も実現すると聞きましたから、日本でのウェールズの認知度が高まる来年は、ブルーロブスターをアピールするチャンスにもなるのではないかと期待しています。

ー どうも、ありがとうございました。

|NEWS|
大盛況だった「水沢ダウン ブリティッシュツアー2018」
ウェールズ政府が東京・京都・福岡でのイベントを後援


東京・猿楽町のデサントブラン代官山店で11月17日と18日の両日、株式会社デサントと株式会社ほぼ日の主催による「水沢ダウン ブリティッシュツアー2018」(後援:ウェールズ政府)が開催されました。
水沢ダウンは、ウェールズのベンブルックシャー・キャッスルモリスの伝統的なウール織物「メリン・トレグウィン」のファブリック柄を裏地に使用しているほか、カーマーゼンシャー・アマンフォードの英国王室御用達ブランド「コーギ」とニット作家・三國万里子さんとのコラボレーションアイテムも今年秋のラインナップに加わることから、イベントには英国にゆかりのあるショップやブランドも参加。東京・京都・福岡の3都市で実施された「水沢ダウン ブリティッシュツアー2018」は、ウェールズとの関わりも深いため、ウェールズ政府も後援することになったものです。
 デサントのラインで生産されている水沢ダウンは、株式会社ほぼ日が運営する『ほぼ日刊イトイ新聞』が開設しているオリジナル商品の企画・開発・販売サイト「ほぼ日ストア」などで商品を販売していますが、今回のイベントでは、「ほぼ日の水沢ダウン2018」の全アイテム全サイズをその場で購入して持ち帰られることから各会場とも大いに賑わいました。

|NEWS|
ウェールズ政府日本代表事務所が初出展
ヒルトン大阪でEnglish UK主催の留学商談会
 英国における認定を受けた英語学校の全国組織であるEnglish UKは11月20日、大阪・梅田のヒルトン大阪で留学エージェントなどを対象とする商談会を開催しました。
 English UKは、英語教育認可サービス協会(ARELS)と英国国家英語教育協会(BASELT)によって設立された組織で、英国における英語教師を代表する団体として、世界各国の様々なパートナーやステークホルダーと協力しながら、語学教育団体として世界をリードしています。
 今回の商談会には、ウェールズの首都・カーディフにあるCeltic English Academyとウェールズ政府日本代表事務所がそれぞれのブースを出展し、Celtic English Academyは留学エージェントに対して教育プログラムをアピールしました。
 また、ウェールズ政府日本代表事務所のブースにも、留学先としてウェールズを積極的に検討している留学エージェント7社が訪れており、ウェールズの認知度や留学先としての関心が高まってきていることをうかがわせています。
 ウェールズ政府日本代表事務所は、今年10月に東京で開催された「英国留学フェア」(主催:ブリティッシュ・カウンシル、後援:文部科学省/外務省)に初出展したのに続き、今回のEnglish UKによる商談会も初めての出展となりました。

|NEWS|
読売新聞の夕刊コラムにて北ウェールズとコンウィが紹介されました!
 11月21日発行の、読売新聞全国版の夕刊コラム「旅」欄にて北ウェールズとコンウィが紹介されました。
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編集後記

10月に来日したウェールズ貿易使節団が確かな成果を上げたのに続き、今月は東京や京都、大阪、福岡の大都市でウェールズも深く関わるイベントが相次いで開催され、日本におけるウェールズへの認知度やウェールズの製品・サービスなどのプレゼンスも着実に高まっているのを実感させました。ラグビーワールドカップが日本で開催される来年、ウェールズ代表チームがウェールズの存在感を強烈にアピールしてくれるだろうと、今から楽しみでなりません。

次号は12月15日に発行予定です。お楽しみに!

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