ウェールズの奥深い魅力を改めて実感|Wales Now Vol.38

発行日:2018. 4. 16

ウェールズのリアルタイムな情報を隔週でお届けします。


“「自然の美しさ」と「人々の温かさ」こそウェールズの魅力”


右が岩田シャーンさん

立教大学経営学部で教育研究コーディネーターとして、学生の留学関係業務に携わっている岩田シャーン(Iwata Sian)さん。日本ウェールズ協会でイベントコーディネーターを務めたこともあるシャーンさんに、ご自身の深いウェールズ愛を育んできた多彩な経歴とウェールズへの思いを語っていただきました。

ー シャーンさんとウェールズの関わりについて、お聞かせいただけますか。
私は、母がウェールズ人、父が日本人で、生まれも育ちも日本なんです。生活のベースはずっと日本でしたけれども、英国でも通算8年間ほどを過ごし、ウェールズにも2年間住んでいました。小さい時には毎年、夏休みに必ずウェールズの親戚を訪れたものです。

ー お母様は、どちらのご出身でいらっしゃいますか。
スウォンジーとカマーゼンの中間くらいにあるキッドウェリーという小さな村です。私の従兄妹や親戚などはウェールズで暮らしていますから、子どもの頃は、ウェールズ南部にある母の故郷ばかりを訪ねていました。両親がロンドンに自宅を兼ねた事務所を構えてからはロンドンへ行く機会も増えましたが、ウェールズが私の気持ちを温かくしてくれる掛け替えのない特別な場所であることは変わりません。

ー 英国での通算8年間は、どのように過ごされたのでしょうか。
私は日本の大学で国際関係論を専攻したのですが、4年生の時に交換留学でノッティンガム大学に行きました。日本に帰って大学を卒業した後、日本の企業に6年間勤めましたが、その間に勉強する時間がどんなに大切か分かるようになって、MAを取得するためにリーズ大学に留学し、Asia Pacific Studiesをテーマに選んで、アジア太平洋地域の政治・経済、時事問題など広範に及ぶ研究をしました。この時期にウェールズとの間を行ったり来たりしたのですが、この時も、ウェールズでは、母の出身地のキッドウェリーで過ごしています。MA取得後はロンドンの日本大使館に勤務し、政務班 (ポリティカルセクション) で、リサーチアシスタントをしていました。大変な仕事でしたけれども、非常に面白くやりがいがありました。

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シャーンさんのお母様の故郷にあるキッドウェリー城

ー 日本に戻られてからは、どんな仕事をされてきたのですか。
私は趣味でワインに嵌っていた時期があり、大学に勤務する前は、趣味が高じて英国ワイン商の日本支店でも働いていました。17世紀に設立された英国王室御用達のベリー・ブラザーズ&ラッドという会社です。フランスのボルドー地域が一時期、英国領だったという歴史的背景もあり、主にフランスワインを商っていましたが、最近は地球温暖化のお蔭で、英国でも良いスパークリングワインが造られていますから、英国のワインも扱うようになってきています。ウェールズにも幾つかワイナリーがありますが、まだ、行ったことがないので、是非、訪れてみたいです。

ー ご家族とウェールズへ行かれたりすることもあるのでしょうか。
主人はイタリアに4年間住んでいたこともあるシェフなのですが、二人での旅行はヨーロッパが中心で、帰国する時に私が一人でウェールズに寄ってくるというパターンが多いんです。でも、日本ウェールズ協会のイベントコーディネーターを務めていた時には、主人のイタリアンレストランで、ウェールズにとって建国記念日のように重要なSt. David's Dayのイベントを開き、ウェールズのラム料理を作ってもらったりしました。

ー シャーンさんは、どんなところにウェールズの魅力を感じていらっしゃいますか。
最初に思い浮かぶのは、自然美の素晴らしさと人々の温かさです。ウェールズに住んでいた時は、海へ行ったり、山に登ったり、沿岸沿いのドライブを楽しんだり、豊かな気持ちにしてくれる自然を満喫しました。お城も沢山あって、有名ではありませんけれども、私の大好きなお城も一つあるんです。原型もとどめていない城跡のような場所ですけれども、そこから眺める景色は素晴らしく、いつも心が洗われる気がしています。ローカルの人たちしか知らないようなお城ですが、思い立って母方のファミリーにとってルーツとなる土地を訪れた時に、たまたま見つけたパノラマの絶景は忘れることができません。ウェールズには、そういう素敵な場所を見つける楽しさもあると思います。

ー ウェールズの人々の温かさについても、お聞かせください。
今もウェールズ語が使われているからでしょうか、英語を話す時に歌っているように語尾のイントネーションが上がり、その話し方がとても温かい気持ちにさせてくれます。暮らしぶりも本当に温かくて、ご近所さんが「バラブリス(ウェールズを代表するお菓子) を作ったから食べない?」って持ってきてくれたり、道ですれ違えば、知らない人にも挨拶したり、公園でも互いに知らない同士が冗談を言い合って笑ったりしてます。その地域社会の濃密さは、東京生まれ・東京育ちの私にとって、かなりのカルチャーショックで面食らいましたけれども、慣れてくると「これが本当の人間らしさなんだ」「本来はこうあるべきなんだ」と思うようになりました。人々の故郷に対する愛情も深く、ウェールズ人の愛国心にはいつも驚かされます。でも、自分たちのアイデンティティをしっかりと持っているからこそ、他所から来た人にも優しい「おもてなし」の気持ちを示すことが出来るんだと思いますし、それこそがウェールズ人の素晴らしさではないかと考えています。

ー シャーンさん、ありがとうございました。


“母の作る今も恋しい大好きなウェルシュ・レアビット”


大分で子どもたちに英語を教えているケイティ・パスク(Katie Pask)さんに、日本での生活や仕事、ウェールズについてお話を伺ってきました。

ー まずは、ケイティさんの自己紹介をお願いいたします。
出身地はカーディフ近郊のディナス・ポウィス(Dinas Powys)という町です。大分の幼稚園で子どもたちに英語を教えています。日本に来てから9年ほど経ちました。子どもたちに英語を教えるのはとても楽しいです!

ー ウェールズで児童教育について学ばれたのですか。
イングランドのエクセターにある大学に行きましたが、そこで心理学を学びました。卒業論文で児童心理学に取り組んだのですが、大学の副専攻では日本語を選んでいたのです。日本語を上達させるには日本に住むのが一番と思ったんです。

ー 日本の第一印象はどんなものでしたか。
「すごく、すごく、すごく暑い!」です。日本に来たのは8月ですが、8月のイギリスはあまり暑くありません。ところが、日本はとっても暑くて…。35度くらいあったのではないかと思います。でも、暑さ対策は特に何もしませんでした。部屋にエアコンもありませんでしたから、水をたくさん飲んだり、扇いだりしていましたね。日本に来たときは、虫の多さにも驚きました。特に夏の時期です。生徒が大きなクモを見つけたりすると、「先生、見て見て!」と教えてくれたりしますが、イギリスにはそこまで虫がいないので驚きの連続でした。ゴキブリもイギリスにはいないので、日本に来るまでは見たことがありませんでした。ある日授業中に、「ゴキブリがいる!」と勘違いしてしまって、慌てて思わず靴で蹴り上げたこともあります。見間違いとわかったときは、本当に安心しました。もう虫には慣れましたが、ゴキブリだけは今でもダメですね。

ー 週末はどのように過ごされていますか。ご趣味などはありますか。
カラオケがとても好きです。カラオケに行くと、日本のバラードソングなどを歌います。日本の歌手では浜崎あゆみが好きでした。彼女の歌の中では、「Heaven」が一番のお気に入りです。

ー 英語を教えていて、何か興味深いエピソードはありますか。
英語を教える身になって、気づかされることはたくさんあります。スペルの間違いとか、文法のことで気づかされることが多いです。イギリスで英語を学んだときには、「どうして?」「なぜ?」なんて思うことはありませんでした。でも、日本で英語を教えていると、「ああ、この文章はこういう文法構造になっていたんだ」と改めて理解することも多いですね。日本人に「どうしてこうなるの?」と聞かれても、私たちには自然のことなので、その理由を考えることもありませんでしたから。「質問にうまく答えられずゴメンなさい!」と思ったこともあります。

ー 日本の子どもとイギリス、ウェールズの子どもの違いを感じたことはありますか。
私の印象では、日本の子どもたちはおとなしいですし、シャイな感じがします。でも、幼い子供は、そこまででもありません。年長の子どもたち、例えば4〜5歳くらいの方が、控え目な感じがします。

ー イギリス、イングランド、ウェールズ、という概念に戸惑う日本人もいますけれども、ウェールズ出身ということをどのように説明されていますか。
日本に来た頃、「ウェールズ出身です」と言うと、「ウェールズ」という地名を聞いたことがないという人もいました。でも、私にとって説明するのはそんなに難しいことではありません。ウェールズは国のひとつで、イングランドの横にありますよ、と言うだけですね。

ケイティさんの“お袋の味”
ウェルシュ・レアビット
(写真提供:英国大使館)

ー ウェールズの食べ物で一番好きなものはなんですか。
私の母が作るウェルシュ・レアビットです。大好きで、今も恋しくなります。自分で作る時にはマスタードを入れたりしますけれども、母が作ったものと同じようには作れませんね。

ー 将来の夢や計画はありますか。
私が作った英語のテキストブックを出版することです。

ー では、最後にウェールズを3つの単語で言い表してください。
「美」「文化」「最先端」の3つです。「美」については、ウェールズの景色や景観は本当に素晴らしいと思います。美しい建物や自然がたくさんあります。「文化」ということでは、ウェールズには長い歴史があり、音楽や芸術も根付いています。「最先端」は、みんな流行に敏感だからです!

ー ケイティさん、ありがとうございました。


|NEWS|

◎ウェールズで高まるトヨタの新型エンジン生産への期待
ウェールズの自動車業界では、トヨタ自動車がハッチバック車「オーリス」の次世代型に搭載する新型エンジンをウェールズ北東部のDeeside工場で生産する計画を明らかにしたことから、自動車業界全体の底上げへの期待が高まっています。新たなエンジン生産計画によって、Deeside工場でも多額の投資が行われるものとみられます。Deeside工場の従業員数は現在約600人ですが、この投資により今後も多くの雇用が維持される見通しです。

◎カタール航空(東京/カーディフ線)就航記念セミナー
今年5月1日、カタール航空によるドーハ経由の東京(羽田・成田)/カーディフ(ウェールズの首都)間の運航がいよいよ開始されます。3月28日には路線開設を祝って、グランドハイアット東京で東京/カーディフ間新規就航記念セミナーとレセプションを開催しました。
セミナーでは、カタール航空の新しい機内サービス、カーディフの魅力や現地情報などを紹介。旅行会社とプレスの関係者など約80人が出席し、ウェールズへの理解を深めました。この新規就航によってウェールズへの新しいゲート・ウェイが開かれ、ますます日本からの旅行者が増えることでしょう。2019年のラグビー・ワールドカップの日本開催に向けて、ラグビーを国技とするウェールズから多くのファンも来日し、双方向の国際交流も盛んになることが期待されます。

編集後記

美しい風景と温かい人々、そして、懐かしい郷土料理。奥深いウェールズの魅力が伝わります。

次号は5月1日に発行予定です。お楽しみに!

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